フランス文学の古典名作「モンテ・クリスト伯」(アレクサンドル・デュマ著)を原作とし、大胆に幻想の未来都市パリを舞台にした復讐のパンク・オペラとして描かれた「巌窟王」。本作では、復讐の生贄となる一人の少年の目線から物語を構築し、残酷でイノセントなドラマティック・アニメーションが誕生した。

ストーリー概要

第一幕

パリの貴族モルセール家の息子アルベールは、親友のフランツと共にカーニバルで賑う月面都市ルナを訪れていた。オペラハウスの中で、アルベールは圧倒的な存在感を放つ紳士に出会う。彼の名はモンテ・クリスト伯爵。アルベールは、成金とも怪人とも呼ばれるその紳士に興味を引かれる。ホテルに戻ったアルベールの元に伯爵からの招待状が届く。豪華な晩餐にあずかった二人は翌日、カーニバルのメインイベントである公開処刑に同席する。しかしアルベールは、伯爵の提案で人の生命を左右する究極の選択を迫られてしまう。気分を悪くしたアルベールは思わずフランツと喧嘩別れをしてしまうが、その前には美しきペッポが現れたのだった…。

第二幕

ペッポとの一夜の恋に身を任せようとしたアルベールは、その油断をつかれて凶悪な盗賊ルイジ・ヴァンパ一味に誘拐されてしまった。連れて行かれた先は、ルナの地下に広がるカタコンベ…かつて月世界を開拓した移民たちの墓地だった。ホテルに戻っていたフランツは、盗賊一味からの脅迫を受けて驚愕する。アルベールはフランツにとって父の死後、心を開いて素直に話せるようになった無二の親友なのだ。ルナ中を金策に走るフランツだったが、どうしても身代金の工面ができない。弱りはてたフランツは、胡散くさいと思っていたはずのモンテ・クリスト伯爵にすがりついた。伯爵の馬車が未明の街を走る。だが、刻限の夜明けはすでに目前に迫ろうとしていた…。

メインキャスト

モンテ・クリスト伯爵:中田譲治
アルベール:福山潤
フランツ:平川大輔
フェルナン:小杉十郎太
メルセデス:井上喜久子
ペッポ:中原麻衣