原作は18禁の同名タイトルのゲームだがストーリーはオリジナルなものである。基本設定の「本の世界を旅する」というところは変わっていないが、アニメ版の主人公は葉月に変更されている(ゲーム版の主人公は"布きれ"(笑))。

18禁ゲームが原作で「一般向けアニメーション」というのは、最近では珍しくもなくなった。「君が望む永遠」や「らいむいろ戦奇譚」「月姫」などなどここ1、2年で急速に出てきた。
中にはうーんと悩んでしまうものもあるが、元ネタが元ネタだけに一般向けアニメとなると中途半端になってしまうのもあるのだろう。なにせ18禁ゲームの一面である「18禁表現」ができないのだから(笑)。

だからこそストーリー性をくみ取り、再構築して見せる腕が要求されるわけだが、「ヤミと帽子と本の旅人」ではそれをばっさり切り、オリジナルのものを展開させたのは、良い判断だったのではないだろうか。原作に忠実にというのも一つの方向性だが、良い意味で裏切られる展開というのを視聴者は期待するものだから。 オリジナルだとわかっていれば、見方も変わってくる。(完全に百合路線にしたというのは、ターゲット層を狙いすぎ、とも言えなくはないが・・・・スタッフさん、ナイスな仕事だ(笑))

また、絵に関しても西田亜沙子が総作画監督として常に入っているためだろう、高クオリティーを保ち続けている。またちゃんとファンサービスなお色気シーンも忘れずに(しかもハイレベルなクオリティの絵で)毎回入っているが、不自然さをあまり感じないレベルだ。もっとも、TVの表現限界に挑戦したと思われる回もあったが・・・(スタッフさん、よくぞTV局側を説得した(笑))。

余談だが、第10話・第11話で登場のレイラは、OPを歌っている嘉陽愛子が初声優に挑戦している。

映像と音楽

ストーリー概要

葉月は義理の姉――初美に対する恋心を抱いていた。
愛おしくもどうすることもできない日々の中、その初美が16歳の誕生日の日に突然目の前で消えてしまった。
葉月は初美を見つけるため、ケンちゃんと図書館世界の管理人(=ヤミ)であるリリスと共に"本の世界"を渡り歩くことになるのだが・・・。

メインキャスト

葉月:能登麻美子
リリス:小林沙苗
初美(イブ):清水愛
皇蓉子:大原さやか
ケンちゃん:高木礼子
アーヤ:福山潤
ガルガンチュア:三木眞一郎
リツコ:井上喜久子