プログレ生誕45周年徒然

45周年ということは1970年を起源としているのか。70年といえば原子心母がリリースされた年。当時の担当ディレクターの石坂敬一氏による有名なコピー「ピンクフロイドの道はプログレッシブ・ロックの道なり」がレコード帯に付けられた作品だ。この時、プログレッシブ・ロックが誕生した。といっても日本人による造語なのでしばらくは日本国内だけでしか通用しない用語だったが今では世界的な共通語になっている。

「プログレッシブ・ロック」という言葉はいつの間にか広まっていたけど、イエスのこわれものが出た時にミュージックライフ誌は「イエスのソフト・ロックの世界」というような紹介をしてた記憶があるな。
既存のロックの形に囚われず、先進的・実験的・前衛的な要素を取り入れた音楽、というのが大まかな定義だと思う。音楽のスタイルとしてではなく、姿勢や思想みたいなものなんじゃないかな。
クラシカルでシンフォニックなものから、これは今だったらテクノじゃないの?というものやほとんど民俗音楽みたいなものまで様々なスタイルのバンドが含まれている。「よくわからない音楽はみんなプログレだ」みたいに乱暴なところもあったかも。まぁ、それまでのブルースやR&Bをベースにしたロックとは違うから、どこにも属さないロックということである意味正しかったのかもしれない。

歌詞も単純なラブソングではなく、思想的・文学的あるいは物語的だったりする。もちろん演奏と歌詞両方の総合的な表現を目指しているわけだけど。

「プログレッシブ」という言葉は70年代であれば本来の意味(進歩的、先進的)が有効だったけど、現代では名称だけ残り、当時の音楽性をもったものという風に音楽スタイルを指す場合が多いようだ。
当時は斬新だった表現方法も様々な音楽を通過した現代では普通にヒット曲に取り入れられたりして、そんなに驚くことではなくなってきている。まさか「ポリリズム」なんていうタイトルのJ-POPがヒットするなんて思いもよらなかったな。 今の耳で70年代のプログレを聞いてみると、意外に聞きやすいことに気付く。難解と思われていた楽曲も、美しくポップなメロディだったり、長い曲も変化に富んでいて飽きさせない、

今回のリイシューで70年代の初めはたくさんの若いバンドがデビューしたんだと改めて感じた。60年代末のサイケやヒッピー文化、あるいはビートルズやジミヘンら先人達の影響を受けた若者達が新しくて刺激的な感性・アイデアを持ち始めたのだろう。驚きなのはバンドメンバーの年齢がほとんど20代前半だったりするんだよね。

今回は王道をちょっと外したラインアップ。とはいえ名盤や人気作品が揃っている。長い間、入手困難だった盤もあり、こういった企画は嬉しい。しかもお手頃価格。いい時代になりましたな。

プログレッシブ・ロック SHM-CD コレクション 1300