宵宮の一夜、覚醒の風が吹く時、救済がはじまる
蘇我と物部の政略の渦の中で、二人の皇子は互いに憧憬を抱く
真実の自分を追い求め、揺れ惑う少年の前に現れたのは
二つの事件が富山の霊廟・宝生院で一つに繋がった時、伝説は俄に現実のものとなる
不気味にそびえたつ時計塔、青い闇の底に浮かぶあえかなる少年の姿
歪んだ王宮に棲む皇子は菩薩と鬼の貌をもつ
神の貌を知るのは誰か? 禁忌の里で伝えられてきた信仰と伝承、入り組んだ血縁関係の悲劇
私たちは生まれ方を間違ったの? どこでなら生きていけるの?
明日、さえざえとした月光の中で見る蘭は、どんなに美しいだろう
病みゆく夜、満開の桜が血に染まる......桜塚という地名に隠された謎とは?
彼は本当にこの不気味な里でこそ見るにふさわしい、凄絶な美少年だった
刹那と永遠をつなぎとめる月光色の不文律
燦々たる逆光のなか、聖母の横顔に浮遊する罪の残像