デビュー以来、高いクオリティの楽曲達を発表し続けているラムジの2人。

そんなラムジの4枚目のニューアルバムとなるが遂に完成した。
前作のアルバム「merry go round」以来、約1年3ヶ月振りのリリースとなるアルバムのタイトルは「MELODIES」だ。

アルバムの冒頭を飾る、抜けるような青い空を連想させる爽やかなサウンドの「碧空」を始めとして、アルバムに先駆けてリリースされたシングル「好きだから」とそのカップリング曲「Dear Friend」、「distance」、そしてJR九州 九州新幹線全線開業一周年記念CMソング「記念日を贈ろう」等、珠玉のメロディが詰まった充実の内容のアルバムに仕上がっている。

今回、特に注目なのはヴォーカルの山下祐樹の作詞作曲による切ないラブソングの「さよならも言えないまま」、井上慎二郎の手による蒼さとほろ苦さをが同居した歌詞が胸を打つ「クライマー」と、2人の個性を感じさせる楽曲達が収録されていること。
それぞれが作り上げる楽曲の個性が際立つことによって、ユニットとしてのラムジらしさがより鮮明に反映された内容となっているのではないだろうか。

そして2010年にJRAブランドイメージソングとしてリリースされた「ユメオイビト」のアルバムバージョン「ユメオイビト -RH120122-」も収録されている点にも注目だ。
こちらも原曲とは一味違ったシンプルだけれども感動的なアコースティック・バージョンとなっている。

ラムジの2人の音楽に対する真摯な姿勢はいつも変わらない。
時に不器用な程の情熱と愛情を込めて作り上げる彼らの楽曲達は、だからこそ聴き手の心をダイレクトに揺さぶるパワーを持っているのだと思う。

嬉しい気持ち、悲しい気持ち、相手を励ます気持ち、様々な想いを込めてラムジの2人が作り上げた13曲が、このアルバム「MELODIES」に収められている。
13曲の楽曲達の中にはきっと今のあなたの気持ちにピッタリな1曲が見つかるはず。

2012年5月からはアルバム「MELODIES」を引っ提げての全国ツアーが予定されているという。
いつもハートフルな感動を呼び起こすラムジのライブ。
まだ未体験の方は是非とも一度体験してみては?

Profile

ラムジ
山下祐樹(Vo./作詞)、井上慎二郎(Gt./Producer/作家)の男性二人組ユニット。
2005年11月にデビュー。これまでにメジャーとしてはシングル5枚、ミニアルバム2枚、アルバム2枚をリリース。2011年2月2日には待望の3rd ALBUM「merry go round」をリリース。
JRAブランドイメージソングの「ユメオイビト」が競馬ファンに支持を得て、東京競馬場や阪神競馬場でミニライブをおこなった。
作家としても制作スタッフにその才能を高く評価されている井上は山下と共に東方神起の「どうして君を好きになってしまったんだろう?」「Bolero」の作詞を担当し、「どうして君を好きになってしまったんだろう?」は2008年日本レコード大賞優秀作品賞作詞部門を受賞。
また井上慎二郎としては「Stand by U」(東方神起)の作詞を手がけ09年、レコード大賞優秀作品賞作詞部門を受賞。
'09年3月からはじめた川崎でのストリートライブは現在でも川崎で定期的に行っている。川崎での活動が川崎市が市内の小学校10校で進める「映画づくり特別授業」のイメージソングを提供することになった。そして2011年3月25日には2回目となるワンマンライブをクラブチッタ川崎にて開催。

山下祐樹(Vocal)
1981年7月15日生 福岡県北九州市出身 B型
22歳の誕生日に何の当ても無く「歌いたいから」という理由で上京。
井上慎二郎と運命的な出会いを果たす。
雨に濡れて震える子羊のような容姿だった当時の山下のイメージから羊を連想し、アニメの子羊キャラクターからラムジと命名。
2人組ユニットとして04年、ラムジを結成。

井上慎二郎(Produce, Arrange, Guitars, Instrumentals)
大学在学中よりプロとしてのキャリアを積み重ね、主にギタリストとして活動。
93年、織田裕二のセカンドアルバム「決心」で作家デビュー、これまで数多くの楽曲を提供。
96年ソロアーティストとしてメジャーデビュー。その後、98年にバンダイ・ミュージック・エンターテインメントを離れ、98年から00年まで吉田拓郎のライブサポート。
また同時期に「LOVE LOVE あいしてる」にギター/コーラスでレギュラー出演。
98年には、フジテレビ系ドラマ「GTO」主題歌にもなった反町隆史の「POISON~言いたい事も言えないこんな世の中は~」の作曲を担当。
その後、99年からベーシスト”Chirolyn”と共に”Chirolyn & The Angels”を結成し、01年まで活動。
03年、ソロでは大黒摩季のライブサポートミュージシャンも務めた。
現在はラムジのメンバーとして、そして作家、サウンドプロデューサーとしても活躍中。
Lambsey ラムジオフィシャルウェブサイト

ラムジ「MELODIES」インタビュー

まず最初にニューアルバムを聴かせて頂いて、今回もとても良いアルバムだなと思いました。 去年リリースされた前作のアルバム「merry go round」はラムジの中で最高傑作であると思っていたのですが、最高傑作を生み出した後どうするんだろうとも思っていたんです。

山下:ありがとうございます。

そんな中で今回聴かせて頂いたニューアルバム「MELODIES」はやっぱり傑作アルバムだなと思いました。今回のアルバムは、いつ頃から構想などを抱いていたんですか?

井上:丁度アルバム「merry go round」をリリースした頃に「好きだから」を作り始め、それありきでこのアルバム制作に入ったので、実際に作り始めたのは大分前からだったんです。ライブがあったり、そして震災もあったので、一度、どうしたものか?という時期もあり、本格的に制作に入ったのは夏からです。

その時点でこういうアルバムにしようとか構想は見えていたんですか?

山下:楽曲の中で僕らのメッセージ性・想い入れ・意味というのをもちろん大事にし、命を掛けているんですけど、それはあくまで聴く人のところに届くための原動力であって、聴いてくれた人にとって、良いことのきっかけになってくれれば良いなと。その様な作品になればな、と思い、最初は「ナキウタ」というタイトルを付けて進行し出しました。「好きだから」のカップリング曲 (Dear Friend・distance)も含めた3曲全て入れるつもりでしたし、そこからこういうのを作って行こう、あぁいうのを作って行こう、と進めて行った感じですね。

井上:実際に曲自体は「merry go round」の時点で2枚アルバムを作れるくらいあったんですね。
コンセプトを決めてから、これは今回入れて行こう、という楽曲のチョイスをしました。
ただその時点では歌詞が無い曲が多かったので、歌詞は書き下ろしました。
レコーディングは11月(2011年)から本格的に入った感じですね。

山下:そして11月(2011年)にワンマンライブもあって。

井上:シングルのリリースもあり、プロモーション活動も入りまして、ちゃんとしたものを作りたかったし、前作を超えるために少し発売を延ばさせてもらいました。

発売を延ばしたこともあり、キチンと納得出来たものが出来たので良かったですよね。ラムジはいつもアルバムのタイトルと同名の曲が入っていることが多いと思うんですが、今回も「Melodies」という曲が収録されていますよね?「MELODIES」をアルバムタイトルにされたのはどんなところからだったんですか?

井上:「Melodies」という曲自体はいわゆるタイトルチューンではないのですが、心情的にはアルバムをトータルしてこの曲の内容があります。「Melodies」におけるメロディというものが人々の希望の例えになっていて、13曲のピースが誰かにとっての希望だったり、喜びだったり、楽しみだったり、になってくれたらな、と思います。抽象的ですが、そのピースの中心に「Melodies」があります。13曲の中でそれぞれが誰かの役に立ったら嬉しい、ということの象徴ですね。

なるほど。歌詞を読んだ時はちょっと儚い印象を受けました。

山下:この曲はアルバムのタイトルにしたくらい想いは強いですね。震災が起こって4ヵ月後ぐらいに東北を回らせてもらいました。今よりもまだまだ復興が進んでいない状況の中、3日間、宮城・岩手に行った帰り道になぜか童謡が聴きたくなったんです。それは何かな?と考えたら、多分、その2、3日で触れ合った人・街・文化だったりが、凄く日本の良さを代表している部分ではないか?、と考えました。童謡は日本の良い心の集大成みたいなところがあると思うので、それで聴きたくなったんだな、と思います。その気持ちを持ち帰って相方に伝えたら、奇跡的というか運命的だと思った程に、童謡の様な曲を書こうとしていたんです。

井上:童謡というか、いわゆるポップスの作りでA・B・サビという進行のものではなくて、日本的で良いメロディが一筆書きで出来ている様な曲を作ろうとしていたんですね。

山下:それで下地が出来ました。人の立場になってものを考えることが出来ない様な現実を目の当たりにした時に、僕は何目線で歌ったら良いんだろう?、と悩んでいたんです。
そこで相方から♪そして君はいつか忘れるだろう 僕の名前さえも♪という歌詞を生かして欲しい、という話をもらい、それが僕らなりの答えかもしれないと思いました。
自分の気持を最大限に表現出来るかもしれない、ということで出来た曲です。

アルバム「MELODIES」には、恋愛、・仕事、・家族など、理由は聴いている人それぞれでどんなことでも、そこに悲しみがあれば希望として届けたい、という意味があるので、収められている他の12曲の曲達も、その様な人達の元に飛んで行け!という想いを込めて作り、それをトータルしたのが「Melodies」という曲です。
そういう意味と、想いがある大事な曲なのでアルバムタイトルにもしました。

なるほど、そのお話を伺った上だとこの曲はまた違って聴こえますよね。

井上:あまり説明して伝えたくないし(笑)、その曲自体を聴いて感じてもらえれば一番良いんです。

そして今回のアルバムに収録されている「記念日を贈ろう」ですが、JR九州の九州新幹線CMソングですよね。この曲すごい良い曲ですよね。

山下:僕も大好きな曲ですね(笑)。

この曲の歌詞は山下さんが書かれていますが、どういう心持ちで書かれたんですか?

山下:とにかくどんな人にしても、やっぱり元気のない人に元気を出して欲しいじゃないですか。でも何て言って良いかわからないし、頭の中ではいっぱい浮かんでいる色々な言葉をどう伝えて良いかわからない。そこで心の中でたくさん浮かんでいる「エール」を描きました。元気のない人に対して、元気になって欲しいという想いの歌でもあるし、元気になって欲しいと誰かを応援したいと思っている人の歌でもある。そんないろんな想いを込めて書いてみたんです。

歌の中で♪僕は 唄い続けるよ♪というところが個人的には良いなと思ったんですよね。

山下:「唄うよ」ということは僕目線だから、今まで使わなかったんですけど、今回は自然に心からそう思って出来た歌詞だったんです。そこからどんどん作り込んで、元気のない人に対して何て言ったら良いんだろう?と、思っている周りの人達の気持ちの代弁者になれる曲にしたかったんです。

この曲はCMが決定してから作られたのですか?

山下:これは昔からある曲なんです。

井上:この曲は古い曲で前回のアルバムにはたまたま入らなかったというか、ずっと温められていた曲です。
今回アルバムに入れることになり、歌詞を新たに書きました。この曲は僕がいつもはあまり作らないタイプの曲なんですね。
僕は大体、歌詞を歌った状態でメロディーを預けるんですが、最初に歌詞を書くように、山下に渡す時にこの曲はシンセメロで渡しました。

山下:そうです、そうです。

井上:鍵盤で弾くと弾けるんだけど、歌うとすごく難しいメロディーなんです。ちょっと珍しい作り方をしました。

山下:あの早口のところとかはシンセメロを聞いて早口に変えました(笑)。

確かに音数が多いですよね。

山下:シンセだし、それだったら勝手に変えちゃえって、言葉を詰めたりしました。

井上:僕はあまり鍵盤で書いたデモの曲を人に預けることがないので、ずっと残ってたんですね。カラオケで歌ってみるとわかると思うんですけど、凄く難しいはずです。点が取れないと思う(笑)。

山下:(笑)。

井上:鍵盤じゃないと出て来ないメロディですね。

ライブの時も披露して頂く感じですね。

山下:もう早くライブで歌いたいですね。

井上:先日、軽く合わせてみたんですけど、2人でも非常に良い感じで行けそうですね。

生歌で披露して頂くのが楽しみですね。そして今回のアルバムでは山下さんが、作詞作曲を手掛けている楽曲が2曲収録されていますが、井上さんの作詞作曲の楽曲も収録されていますよね。とても印象的だったのが、井上さんの楽曲の方が青春の匂いのする歌詞なんですよね。

井上:今までラブソング書くことが多かったのですが、どちらかと言うと今回はラブソングは山下が担当みたいな感じで、僕はなぜか人生観の方に走ったんですよね。たまたまなんです。例えば「クライマー」という曲ですが、詞先で曲を書いたんです。先にサビの頭の♪これから何十回何百回♪っていうフレーズ、これにメロディを付けたという形で作りました。サビの頭があぁいう言葉だったので、そのまま人生な感じになりました。僕がこの歳になったから出て来る人生観を、僕が山下の歳ぐらいでこの歌詞を書いていたとしても、それはたぶん普通のことだと思うんです。30歳ぐらいで壁に当たるのなんか当たり前じゃないですか(笑)、僕がある程度、経験を積んで来た中でも、本当は緊張もするし、そんなに自信もないから、まだ前に進もうとして頑張っているんだ、ということが言いたかったんです。

井上:♪自信なんて本当は無い♪っていうフレーズがポロッと出て来た時に、自分でそれに共感してしまいました。
ライブに行く時だって、今日はライブだイエー!ってつぶやいているけれど、本当はもうドキドキしてるんです。上手く行くのだろうか、ちゃんとお客さん入るだろうか、とか。

山下:そうなんです。やっていることが好き過ぎて(笑)、だから失敗したくないですし、毎回怖い。

井上:僕ぐらいの年齢の人間がこれを書くことによって、共感してもらえのではないかなと思いました。
提供曲は切ないラブソングも多く書きますが、「でくのぼう」は僕の通って来た人生観であったり、「虹ヲ渡ル」は事務所の社長としての心情であったりします。

それがこの作品「MELODIES」に出ているという事で、「ラムジ」は僕がプロデューサーとして客観的にやっているのと同時に、やはり自分もアーティストとして表現しているんだな、という事を、作ってみて改めて実感しました。

骨太感ある歌詞を山下さんが歌うっていうところもまたすごく良いなと思いましたね。

井上:以前は山下が歌うことを想定して歌詞も書いていたんですね。山下がこういう表現をするのは合わないだろう、ちょっと大人過ぎるから合わないだろう、山下に子供は居ないので子供のことを歌うのはおかしい等、色々と考えていました。最近は山下だったら絶対歌えるから、もう自分の書きたいことを書こう、と考えるようになってきました。少し考えが変わったところで、その分、曲のエネルギーが強くなっていると思います。

そうですね、そういう意味で少し今回の作品の色合いは変わった気がしますよね。それでは2012年5月19日(土)からラムジ Live Tour 2012 「MELODIES」が決定していますが、アルバムを引っ提げてのツアーの抱負を聞かせて頂けますか?

山下:単独公演5ヶ所の他、イベントも含め、ちゃんと全国を回るというのは初めてなので、物凄く楽しみにしています。アルバム「MELODIES」の楽曲を多くやります。ライブ会場で会った人達に「MELODIES」を好きになってもらえたらなと思っています。そして何か良いことのきっかけになってもらえたらなと。楽しんでもらえたらそれが全てですね。

井上:僕は神奈川出身ですが、今まで地元はほとんどやっていないんですね。山下が出身の小倉とお互いの地元でワンマンライブが出来るっていうのは良いな、と思います。
ツアーはアコースティック・バージョンとバンド・バージョンの2種類ありますが、どちらもそれぞれに良いところがあるので、出来れば両方見て下さい(笑)。
最高のパフォーマンスが出来るようにしますので、今まで遠くてライブを観ることができなかった方も、僕らが近くに行った時は是非観て欲しいですね。CDともまた違った伝わり方をすると思います。

では最後にリスナーのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

山下:「MELODIES」の13曲が色々な人々や場所に希望として届けばな、と思っています。この想いはあくまで色々な人達へ届けるための原動力に過ぎないので、皆さんの幸せや希望を持つこと等に貢献出来れば何でも良いです。好きになってもらえたり、楽しんでもらえたり、喜んでもらえたり、様々な感じ方をしてもらえるよう、とにかくたくさんの人に届いたら嬉しいです。

井上:とにかくそれぞれ楽曲が役に立てたら、何かの足しになってくれたら良いなと思うので、是非1曲ずつじっくり聴いてもらいたいです。

text by Takahashi