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古明地洋哉ライブレポート “Wish you were here”tour 2004 春 4/23 渋谷 CLUB QUATTRO

―「自分が曲を作って行く上で、これからも変わらないこと、それは自分の曲が聴いている人にとって、 あわよくば世界の結び目になってくれればと思う 」 ―

ピアノと古明地洋哉 画像はライブとは関係ありません 古明地洋哉、初の全国ツアーの最終日となる渋谷 CLUB QUATTRO。
ぎっしりと埋まった客席が待つ中、明かりの消えたステージの上にフラリと彼は現れた逆光のライトに映し出されたシルエットが奏で始めたのは「stoned flower」。深く重いアコースティックギターの音とCDで聴くよりも力強く響くボーカルが会場の空気を一瞬にして古明地洋哉の音の世界に変えて行く。

バンドを伴って演奏された2曲目は「See Rosalie burns down this world」。
重低音のドラムの音とノイジーなギターが客席を更に重たいうねりへと巻き込んで行くようだ。圧倒的なサウンドと、それにもかき消されることのない歌の存在感に思わず息を呑む。今まであまり意識したことがなかったけれど、彼はとても魅力的な声を持っているのだと再認識させられてしまった。
立て続けに「tonight」、「素晴らしい嘘」。「tonight」ではドラマティックなサウンドと「世界に合わせて踊ることはない、君はひとりでもうまくやれるはず」というフレーズが心に刺さる。
ライブで聴いたのがきっかけでより強い印象を持ってしまう曲がある。この曲もそのような一曲だ。正面 画像はライブとは関係ありません

今回のツアー中に知恵熱を出したというエピソードを語ったMCを挟んで「untitled#1」。
やはりこの曲は名曲だと実感させられてしまった。願わくば今後もコンスタントに演奏してほしい。

後半の「無知の涙」、「孤独の音楽」、より明確になった言葉の一つ一つがダイレクトに耳に入り込んで来て思わず鳥肌が立つ。アルバムがリリースされてから、数ヶ月も経っていないが格段に説得力が増しているのではないだろうか。
先に演奏された曲達とは対照的につぶやくように歌われる「欲望」もまた印象的だった。終盤、ヴァイオリンの岡村美央を迎えて「君をみつけたよ」。
ヴァイオリンのノスタルジックな響きが曲の雰囲気を盛り上げる。ギターと古明地洋哉 画像はライブとは関係ありません

そして最後に「想いが言葉に変わるとき」。
この曲は今後の彼のキャリアの中でも、大切な一曲になるのではないだろうか、そう確信させられた一曲だった。

アンコールでのMCで、今まではライブがあまり好きではなかったということ、そして今でもまだ苦手ではあるけれど、自分の曲を聴いてくれる人達と出会える唯一の場であると思えるようになったと語っていた。
そこから今回のツアータイトルは、ピンクフロイドの曲にちなんで付けられたのだそうだ。

“Wish you were here”
邦題は「あなたにここにいてほしい」。
不器用ながらも彼の素顔の一面を覗かせたようなコメントだ。

「自分が曲を作って行く上で、これからも変わらないこと、それは自分の曲が聴いている人にとってあわよくば世界の結び目になってくれればと思う」
最後に彼はそう語った。横顔 画像はライブとは関係ありません

今回のライブは彼の音楽家としての格段の進歩とこれからの可能性を感じ取る事の出来た一夜だった。その場に居合わせられた事をとても幸運に思う。
余計なものを一切排除した、シンプルな構成のステージ。ここに古明地洋哉がいて歌を聴かせてくれる。それで充分じゃないか、多分、会場に居たみんなも彼に対してこう思っていたと思う、
「あなたにここにいてほしい」と。
(Text By Takahashi)

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