全体として「理論的な章」と「現実の設定もモデルに織り込んだ章」のバランスが良く取れた本だと思う。個人的には、中国のパオの話や、高齢者福祉の話などを、経済学の理論的な枠組みに乗せてうまく分析しているところが面白かった。セクター間のガバナンスの比較というテーマについては、これまで日本語で書かれた良い本がなかったので、なかなかインパクトがあると思った。
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商品説明
本書は、ゲーム理論や契約理論の分析ツールを用いて、民間(企業)、政府、超国家機構の各セクターにみられるガバナンス・メカニズムを理論的かつ実証的に比較分析することで、セクターを横断してのガバナンスの普遍的特色を明らかにするだけでなく、各セクター固有のガバナンスの特色をいっそう浮き彫りにする、革新的な書物である。
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収録内容
1 | 「ガバナンスの比較セクター分析」概要 |
2 | 第1部 民間セクター:コーポレート・ガバナンス(企業の統合vs.非統合、集権化vs.分権化の比較経済理論 |
3 | 組織における結託と、職務設計および権限委譲を通じたコンフリクトのマネジメント |
4 | 日本企業におけるストック・オプションの現状と会計上の諸問題 |
5 | 株主・経営者間の「ストック・オプション契約」の理論分析 |
6 | コーポレート・ガバナンス・システムの多様性と収束性-ステークホルダー・ガバナンスへの収束説 |
7 | 保険の取り付け解約と生保危機) |
8 | 第2部 政府セクター(地方自治体のガバナンスの仕組みとしての議会-議会研究のサーベイと相模原市議会の予算審議の事例 |
9 | 中国における中央・地方政府間財政関係と"包"および"比賽"の概念-「契約理論」による開発ガバナンスの分析 |
10 | 高齢者福祉民営化の可能性) |
11 | 第3部 超国家セクター(欧州連合(EU)における集権・分権とインセンティブ問題-「契約理論」の視点(安定・成長協定とユーロ圏財政ガバナンスを題材として) |
12 | ユーロゾーンにおける対仏財政ガバナンス過程の分析2003年1月~11月-"スイッチング・ポイント"概念の適用 |
13 | 外交における強制の論理と安心供与の論理-威嚇型と約束型のコミットメント) |
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