FUSION BEST コレクション 1000 第一弾 個人的オススメ3枚

ブラジル出身のピアニスト、作曲家、アレンジャーの1977年の作品。世界のリゾート地をテーマに作られています。
CTI時代よりブラジルっぽさは後退しファンク、ブラックコンテポラリーなどの黒人音楽に近づいているいるような印象です。当時、クール&ギャングス、EW&Fなどのアレンジ、プロデュースにかかわっていたことも影響しているのかもしれません。とはいえ彼独特のストリングス、フルートやホーンのアンサンブルなどのアレンジは健在です。
プロデュースもデオダート自身だけでなくトミー・リピューマとの共同作業になっているところも新境地を開こうとしているように思われます。

1曲目のラリーカールトンによる強力なカッティングギターに驚かされますが、このアルバムのハイライトはやはり3~5曲目のメロウ3連発でしょう。
M-3Tahiti Hutはモーリスホワイトとの共作。EW&Fのメンバーも演奏に参加。曲調がThat's the way of the worldなのはニヤリとしてしまいます。ゆったりとしたトロンボーンに合わせてハミングが薄く入っているのがデオダートらしいアレンジ。次の2曲にもデオダート自身のヴォーカルが入っている。
M-4 San Juan Sunsetはドラムのビートを押さえた浮遊感のあるナンバー。デオダートのエレピとラリー・カールトンのギターも絡みが美しい。こちらではエレピに合わせてスキャット。サウダージ感あふれる夕暮れナンバー。
M-5アルバムタイトルのLove Island。アナログ盤ではここからサイドBでした。イントロの波の音とシンセでトロトロになってしまうかも。Tahiti Hutのようなスローグルーヴ。トロンボーンとデオダートのハミングがメインテーマを奏で、ゆったりと音楽が進んでいきます。短いけれどジョージ・ベンソンの素晴らしいソロを聞くことが出来ます。ずっと続いてほしい音楽。

この後、デオダートはダンスミュージックに接近することになりファンの間で賛否両論を呼ぶことになります。

このシリーズの中でこのバンドは異色かもしれません。ジャズ側の人たちが多い中でセクションはロック側からジャズ、ファンクにアプローチしています。
キャロル・キング、ジェームス・テイラーと旧知の仲であるギタリスト、ダニー・コーチマーを中心にクレイグ・ダージー 、リーランド・スカラー、ラス・カンケルの4人がテイラーのバックバンドから独立する形でデビュー。同時にこの4人は西海岸の超売れっ子のスタジオミュージシャンでもあります。特にシンガーソングライター達からは絶大な信頼を得ていて、70~80年代の西海岸で録音されたソロシンガーのクレジットには4人(もしくはこのうち誰か)の名前が必ずあるはず。
そういった環境からジャズ、ソウルだけでなくブルース、カントリー、フォークなどの影響をうけたユニークな音楽性を持ったバンドが誕生したのです。ゲストに若き日のマイケル・ブレッカーが参加していて、当時のフレッシュな演奏を聞くことができるのも興味深いですね。1972年作品。

1974年、20才でジャズの名門Prestigeから初リーダーアルバムをリリースし天才少女と呼ばれました。日本の音楽ファンに知られるようになったのはリー・リトナーのバンドに参加してからでしょう。まだ大学生23歳でした。デイヴ・グルージン、ハーヴィー・メイソンら大先輩に囲まれながらもドレッドヘアーで踊りながらファンキーなピアノを弾くく姿はかっこよかった。他のミュージシャンからのオファーも多く、数多くのレコーディングやツアーに参加しています。90年代にはジャネット・ジャクソン・バンドのバンマスも勤めます。
この作品は1979年の5枚目のソロアルバム。数年前から取り入れた彼女自身のボーカルも板に付いてきた。彼女は元々シンガーではないのでいわゆるソウルフルに歌い上げるタイプではないけれど、さらっとしたキュートな歌声とファンキーでタイトな演奏の組み合わせは絶妙。もちろんピアノもバリバリ弾いてます。ある意味理想的な形かと思います。この後も彼女のPOP路線は快進撃を続けていきます。