読み込み中... loading....
本日配信開始の新刊

悪魔の細菌 超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い

悪魔の細菌 超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い
電子書籍版
試し読み 試し読み
※試し読みにはNeowing eBook Readerが必要です。
価格 3520円(税込)
ポイント還元 35ポイント(1%)
対応端末
  • PCPC
  • iOSiOS
  • AndroidAndroid
ページ数
  • 424
販売開始日 2021/04/09
紙書籍版 取り扱い中

か弱い細菌ごときの策略に引っかかるなんて、思ってもみなかった。
私は大陸を股にかけて殺人ウイルスを追跡し、AIDSに対する戦争を仕掛けてきた。ある時は戦いの最前線に立ち、ある時は世界規模での政策立案に携わる人々と議論のテーブルを囲みながら。そう、ウイルスは恐るべき存在だった。では、細菌は? 大した敵ではない。少なくとも、この細菌は恐れるに値しない相手のはずだった。
私は感染症を専門とする疫学者だ。アメリカの大きな大学で国際保健研究所の所長も務めている。他の誰でもなく私こそ、この細菌から自分の夫を守ることができてしかるべきだった。最後にこの細菌を見たのは、大学院に入る前の学部生時代のことだ。私たち学生は、研究室での初歩的な実験で、この細菌を気軽に扱っていた。いつの日か、この細菌の変異体がお前たちを死の淵に追いやり、お前はそのうち、殺し屋ウイルスの大群を注射して夫を救おうとする......。当時、誰かにそう言われていたら、私は相手の頭がおかしくなったのかと思っただろう。だが今、私たちはまさにその言葉通りの状況を迎えていた。 ――本書より

坪子理美関連作品

中央公論新社関連作品

「科学」カテゴリ