シティ・ポップス
80年代の音楽を中心に洗練されたアーバン&リゾート感覚溢れる楽曲をこの分野の第一人者 金澤寿和氏が監修・選曲・解説をしているコンピシリーズ。そのシリーズに「和モノ」が登場しました。
金澤氏はあくまでも現代の視点から見た楽曲をセンス良くセレクトしているので、古さを感じさせず「寝かせた」感のある熟成した風味が楽しめるようになっています。さらに、さりげなく現代の楽曲も選曲されていて、違和感無く並んでいます。中には意外なシンガーが選ばれていますが、一般的なイメージとちがった一面を発見するのではないでしょうか。ルーム・リスニング、アウトドア、パーティなど色々なシーンで気分を盛り上げてくれることでしょう。
70年代後半、ワンランク上を志向するムードが社会にありました。音楽にもそうした要求が高まってきました。生活に音楽が密着していたのですね。
ユーミンなど一部のシンガーソングライターはすでに洗練された音楽を制作していましたが、いわゆるポップシンガーというものがあまり存在していませんでした。自作しない歌手はほとんどが歌謡界へ行ってしまいます。
時代の感覚にあった音楽を作られるようになります。
新しい感覚の若い作曲家が曲を書き、センスの良いアレンジャーが編曲、腕利きのスタジオミュージシャンが演奏し、。表現力のあるシンガーが歌を乗せ、プロデューサーがそれらをまとめる。それまでの歌謡曲やフォーク、ロックと違う洗練されたポップスの完成です。これはポップスを作る上で理想的そして不可欠なプロセスでした。こうして70年代末~80年代、良質なポップスが次から次へとリリースされます。
彼らはほとんどテレビに出演しません。リスナーはライブ、ラジオ、雑誌、レコードショップ、口コミなどを通して音楽を知っていきました。それは大きな流れとなり、チャートに入るようなヒットを生み出すまでになります。
この制作スタイルはやがて80年代のアイドルシンガーの楽曲にも採用されるようになります。松田聖子などが良い例ですね。
歌詞で描いている世界はほんのちょっぴりハイグレード志向。ちょっと努力すれば、あるいは気分を変えるだけでも到達できる世界を描いています。つまり「等身大」ではないのです。僅かな背伸びがポジティブな気持ちにさせるのかもしれません。失恋の歌でさえ未来を感じます。
音楽的にはアメリカ西海岸の音楽をお手本にしていました。ロック、ソウル、ジャズ、ボサノバなど様々な音楽の要素がはいっているのも特徴のひとつです。ジャズをベースに様々な音楽が融合したクロスオーバー/フュージョンと相性がよく、そちらも盛り上がりをみせていました。
やがて時代は巡り、クラブDJ達がレア・グルーヴの観点から「和モノポップス」を再発見します。様々な音楽ムーブメントを通過した2000年代の耳には、70~80年代の日本のポップスの新たな魅力を聞き取ることができます。リアルタイムで体験していない若者の間にも再評価の波が広がっていったのでした。最近では若いミュージシャンによるネオ・シティ・ポップスとも呼べそうな楽曲が生まれ、静かな注目を集めています。
Light Mellow 和モノ レーベル編
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CDアルバム Light Mellow Wave ~ソニーミュージック編オムニバス2640円
- 2015/01/14 発売
- メーカー在庫あり:1-3日
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CDアルバム Light Mellow Dancing ~ソニーミュージック編オムニバス2640円
- 2015/01/14 発売
- メーカー在庫あり:1-3日
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CDアルバム Light Mellow Twilight ~ソニーミュージック編オムニバス2640円
- 2015/01/14 発売
- お取り寄せ:2-4週間
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CDアルバム Light Mellow Drive ~ウルトラヴァイヴ編オムニバス2640円
- 2014/08/20 発売
- お取り寄せ:2-4週間
Light Mellow 和モノ アーティスト編
各アーティストの名曲をシングル曲やヒット曲に拘らずライトメロウ的視点で選曲されています。
Light Mellow 書籍
Light Mellow和モノの強力なガイドブックです。音楽ファンだけでなく80'sカルチャーに興味がある方も楽しめるのではないでしょうか。