太田和彦とはどんな人物か

太田和彦は、1946年生まれのグラフィックデザイナーにして、日本における居酒屋文化の第一人者として全国の居酒屋を歩き続ける居酒屋探訪家、作家です。

大学卒業後、資生堂のアートディレクターとして広告制作に携わるかたわら、ある時期から全国各地の居酒屋を巡る旅を本格的に始め、その体験を丁寧かつ独自の美学で綴る著作を多数発表してきました。

また、テレビにおいてもCS放送の旅番組『太田和彦の日本百名居酒屋』が10年以上続く人気シリーズとなり、後に続く居酒屋探訪番組の先駆けとなりました。

単なる飲み歩き記録にとどまらず、店の佇まい、店主の人柄、土地の風情、そして酒と肴が醸す空気感までを活写するスタイルは唯一無二。居酒屋を窓口として日本の地方文化と人情を描き出す筆致は多くの読者の心を捉え、「居酒屋評論家」という肩書きを超えた、日本の旅と酒のスタイルを体現する書き手として長年にわたり支持されています。


節分
酒は大人のたしなみです

居酒屋百名山

山岳文学の名著・深田久弥『日本百名山』になぞらえ、太田和彦が全国から厳選した100軒の名居酒屋を紹介し、居酒屋探訪という趣味を確立させたバイブルと言える一冊。

店の雰囲気や店主の人柄、常連客の空気感、肴と酒の相性、地元の歴史や風土までを含めて描き出し、ガイドブックでありながら随筆として「酒場を通して土地を旅する」読み物として仕上がっています。

みんな酒場で大きくなった 居酒屋対談集

酒を愛する著名人たちと居酒屋という「本音が引き出される場」で繰り広げられた対談を収めた一冊。

作家の椎名誠、小説家の大沢在昌、作家の川上弘美、漫画家の東海林さだお、俳優の角野卓造、切り絵作家の成田一徹らが登場し、それぞれの酒場観や人生観が、酔いに任せた会話のなかでほどけていきます。

居酒屋を舞台に語られる人生観や仕事論は、単なる酒談義にとどまらず、世代や職業を超えて共有される酒場の記憶が日本社会の横顔を浮かび上がらせます。

太田和彦の居酒屋味酒覧 決定版 精選

長年にわたって全国の居酒屋を歩き続けた蓄積を結晶化させた、集大成ともいうべき一冊。

「名酒」「名料理」「名居心地」といった切り口に加え、歴史ある建物や内装も顕彰する「日本居酒屋遺産」を選定。全国どこへ旅に出ても、この一冊を手元に置いておけば信頼できる一軒に必ず出会えること間違いなし!

酒と人生の一人作法

70をすぎて「老後」を受け入れて初めて見えてきた、粋と喜びに彩られた“オオタ式”享楽人生論。

社会的地位や立身出世といった物差しから距離を取り、居酒屋の一人酒、日本酒の味わい方、一人旅の行動パターン、古い映画の楽しみ方、東京との付き合い方など、章ごとにテーマを分けて自分なりの人生の整え方を綴っています。

ミドル世代にとって人生の後半をどう味わうかの指針ともなる内容で、静かな勇気を与えてくれる一冊です。

書を置いて、街へ出よう

居酒屋の達人のみならず、街歩きの達人でもある太田和彦。

新宿で落語、日本橋でランチ、吉祥寺でジャズ、四谷でクラシック、代官山で本探し、青山で絵画鑑賞、駒込で庭園散歩、新井薬師で骨董探し、横浜で演劇鑑賞、そして夜は銀座の居酒屋で一杯…。

喜寿にしてなお好奇心旺盛“シティボーイ”ならぬ“シティ爺さん”を自称する著者が、東京の街を味わい尽くす日々雑記です。

まとめ

太田和彦作品に触れることは、単に美味しい居酒屋を知ることにあらず。それは、日本の伝統的な美意識や、人との距離感、そして自分自身の「居場所」の作り方を学ぶ旅でもあります。

あなたもそんな一冊を手に取ることで、旅先での居酒屋の選び方も一人で飲む夜の意味も、少し変わるかもしれません。