ロバート・デ・ニーロとは?

ロバート・デ・ニーロは1943年8月17日、ニューヨーク州マンハッタン生まれの俳優・映画プロデューサー・監督です。

マーティン・スコセッシ監督とのコラボレーションで知られ、1970から80年代のアメリカ映画黄金期を代表する存在として映画史に刻まれています。アカデミー賞は助演男優賞(『ゴッドファーザー PART II』)と主演男優賞(『レイジング・ブル』)の2度受賞。

「デニーロ・アプローチ」- 徹底した役作り

ロバート・デ・ニーロの役作りは、肉体改造、実体験、徹底的なリサーチを組み合わせ、役柄そのものになり切る「デニーロ・アプローチ」として知られます。その徹底したアプローチは世界中の俳優に影響を与え、多くの名作を生み出す原動力となりました。

具体的な「デニーロ・アプローチ」については、以下のような徹底した手法が有名。

肉体改造と環境適応

『レイジング・ブル』(1980)では実在のボクサー、ジェイク・ラモッタを演じるために、ボクシングの練習を1,000ラウンド以上行い、現役ボクサー並みの肉体を作り上げたのちに、引退後の姿として27kg以上増量。また、『ゴッドファーザー PART II』(1974)ではシチリアの言葉や訛りを習得するため、実際に現地で生活した。

職業体験とリサーチ

『タクシードライバー』(1976)では、役作りのため実際にニューヨークで3週間タクシーの運転手として勤務した。

外見の徹底した変容

『アンタッチャブル』(1987)でアル・カポネを演じた際には、額の生え際の毛を全部抜いた。

精神的な融合

メソッド演技法に基づき、役柄の内面まで入り込み、自身の体験に基づいて自然な感情を表現する。


節分
モヒカン姿は強烈でした

タクシードライバー(1976年)

結論:デ・ニーロという俳優を知るなら、まずこれ。

マーティン・スコセッシ監督との初期コラボを代表する作品。ベトナム帰還兵トラヴィスが、眠れない夜にニューヨークのタクシーを流しながら孤独と狂気の狭間で壊れていく姿をリアルに描いた傑作です。

鏡に映る自分自身に向かって「You talkin' to me?(俺に話しかけているのか)」と語りかけるシーンは、映画史上最も有名な場面のひとつ。当時13歳のジョディ・フォスターが売春婦の少女を演じたこでも話題になりました。1976年カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。

ゴッドファーザー PART II(1974年)

結論:デ・ニーロがアカデミー賞を初めて受賞した作品。

フランシス・フォード・コッポラ監督による歴史的マフィア映画の二作目。

PART IIでは、現在のマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)の権力闘争と、若き日の父ビト・コルレオーネ(デ・ニーロ)がシチリアからニューヨークに移住し、ファミリーを築いていく過去を交互に描く二重構成で進みます。

デ・ニーロは当時まだ若手でありながら、マーロン・ブランドが初作で演じたビトを「未来の姿」として説得力を持たせることに成功。この演技でアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。

レイジング・ブル(1980年)

結論:俳優としての「本気」を目撃したいなら、これ。

実在のボクシング元ミドル級王者ジェイク・ラモッタの半生を描いた、スコセッシとのコラボ作品のなかでも最高傑作との呼び声も高い一本です。

デ・ニーロはこの役のために現役ボクサー並みの肉体を作り上げたのちに、引退後の姿として27kg以上増量。体型だけでなく、嫉妬と暴力に支配されたラモッタの精神性までも身体で表現しました。

ほぼ全編モノクロで撮影された映像も印象的。この演技でアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。

グッドフェローズ(1990年)

結論:マフィア映画の「楽しさ」と「恐ろしさ」が同時に刺さる。

実在したギャングの視点で、マフィアの栄光、麻薬による堕落、そして裏切りによる破滅を、一切の美化なしに、しかし圧倒的なエンタメ性で描き切ったスコセッシ監督の代表作。

デ・ニーロは、若き主人公が最初に憧れるマフィア、ジミー役をその圧倒的な存在感で演じています。血の気の多いイケイケ時代から、晩年の静かな威圧感と目の奥が笑っていない冷徹さを、表情ひとつで体現する離れ業をスクリーンに焼き付けます。

アンタッチャブル(1987年)

結論:デ・ニーロの「悪役」を見るなら、まずこれ。

ブライアン・デ・パルマ監督による、禁酒法時代に暗躍したギャング、アル・カポネの逮捕劇を映画化した作品。

デ・ニーロはアル・カポネ役を怪演し、財務省特別捜査官エリオット・ネス(ケビン・コスナー)と対峙します。デ・ニーロが主演・善人側ではなく、圧倒的な存在感を持つ悪役としてスクリーンを支配します。

当初、アル・カポネ役は他の俳優が決まっていましたが、デ・パルマ監督の強い要望によりデ・ニーロが演じることに。多忙なデ・ニーロは、アル・カポネの恰幅こそボディスーツで対応しましたが、額の生え際の毛を全部抜き、顔だけ太らせて役に臨みました。

なお、本作のヒットにより、主演したケビン・コスナーがスターの仲間入りを果たし、当時不遇だったショーン・コネリーが警官役で出演しアカデミー賞助演男優賞を受賞。アンディ・ガルシアもシカゴ・ユニオン駅の大階段でのアクションシーンで注目を浴び出世作となりました。

まとめ:デ・ニーロ入門、どこから始めればいい?

「名前は知ってるけど何から観ればいいか分からない」というのは、デ・ニーロに限らずよくある話。まず気分で選んでみるのも一つの手ですね。

ニューヨークの夜の空気を感じたければ『タクシードライバー』、マフィアの世界観に触れたければ『ゴッドファーザー PART II』か『グッドフェローズ』、俳優としての表現力を純粋に体感したければ『レイジング・ブル』がおすすめ。

入口はどこからでも構いません。今回ピックアップした一本でも観れば「なぜいまも語り継がれているか」が自ずと体感・体験できるかと思います。