エアロスミス、解散するってよ

こんにちは、Neowingのコニーデです。先日、エアロスミスが解散するというニュースが世界中を駆け巡りました。

彼らのデビューが1973年。ざっと40年以上のキャリア。Voのスティーブン・タイラーは今年(2016年)で68歳。いやいや若すぎでしょ!

解散が年齢によるものなのか、別の理由があるのか。その真相はわかりませんが、願わくばいつまでも元気な姿をステージで見せてほしいところ。そこで今回は、60歳(還暦)を超えてなお老い知らずの現役バリバリのロック・ミュージシャンを特集します。

なお、Neowingがほこる音楽マイスター、チャーリー(50代)&東風平(40代)コンビに登壇してもらい、それぞれのミュージシャンについて語ってもらいました。

エアロスミス

2017年のツアーをもって解散するとのこと。スティーブン・タイラーは68歳、ジョー・ペリーも65歳ですか。でも本当に若い!数年前の来日時に飛び入りでストリートミュージシャンとセッションしたりと、音楽への情熱なんてこれっぽっちも枯れてやいないご様子。


チャーリーチャーリー:解散騒動って何度目だよって感じだけど、実は解散はしたことないのかな。デビューの頃はストーンズのアメリカ版って感じだったけど、名盤『ロックス』で一気に人気に火がついた。70年代はエアロスミス、クイーンキッスで御三家なんて言われて日本でもスゴく人気があったんだよ。「ドリーム・オン」がいきなり売れ出してね。

東風平東風平:80年代になってからは薬でボロボロになってレコードも売れなくなって沈みまくったんですよね。それから86年にRun-D.M.C.との『ウォーク・ディス・ウェイ』が受けて、そこからブルース・フェアバーンをプロデューサーに迎えて、デスモンド・チャイルドなんかの外部ソングライターを入れて刷新をはかった『パーマネント・ヴァケイション』で大復活したと。「デュード」とか「エンジェル」とかね。

チャーリーチャーリー:僕にとっては、ちょうどいいロックバンド。延々ギターソロがあるわけでもないし、超絶プレイヤーがいるわけでもない、変にポップすぎてもない、でもちゃんとロックしてるっていうね。

東風平東風平:普通の人が考える「ロックっぽいカッコ良さ」を地で体現してますよね。だから素直にカッコ良いって言える。楽曲も全方位向けだし、MTVにもマッチしてましたね。ただ、ときどき、リブ・タイラーのお父さんとか、アルマゲドンの歌の人って呼ばれ方するのが気になる、主語が逆だろって(笑)


ポール・マッカートニー

ポール、74歳ですよ!還暦どころか70歳を過ぎても勢力的に世界中を飛び回る超人ぶり。ロンドン五輪開会式の『ヘイ・ジュード』も記憶に新しいところ。


東風平東風平:66年のビートルズ来日から今日(6月29日)でちょうど50年なんですね。ポールはビートルズ解散後も4人の中ではソロキャリアを堅実にやってきてコンスタントに曲もヒットさせている印象があります。息が長いというか。

チャーリーチャーリー:解散してからウイングスってバンドを作ったのが良かったのかもしれない。ヒット曲がたくさんあるからディープな音楽ファンでなくとも曲を知っている人は多い。街中でかかっていたり、ラジオから流れていたり。誰でも好きな曲が1曲はあるんじゃないかな。曲名知らなくても聴いたらわかる。個人的には、ウイングス時代の『バンド・オン・ザ・ラン』が好きだね。

東風平東風平:「007 死ぬのは奴らだ」の主題歌はガンズもカバーしてましたね。マイケル・ジャクソンやスティービー・ワンダーとのコラボをやったり。やっぱりポールは音楽家なんでしょうね。だから解散後も音楽をコンスタントにやり続けてヒットを生んでいる。まだツアーやるんですかね?

チャーリーチャーリー:やるんじゃないかな。2014年に体調不良でキャンセルになったけど2015年にちゃんと戻ってきてくれたのはファンとしては感慨深いものがあった。昔は成田で捕まったりいろいろあったけど。


ザ・ローリング・ストーンズ

ミック、キースともに72歳。チャーリー・ワッツにいたっては75歳です。ロックンロールといえばストーンズって人も多いんじゃないでしょうか。あのベロ出しロゴ(?)のTシャツって全世代着れますよね。


東風平東風平:ストーンズってビートルズと同時期で向こうでは対抗馬として売り出されたんですよね。ビートルズはお坊っちゃんでストーンズは不良って売り出し方だったけど、ストーンズのメンバーは「あいつらの方が不良だよ」って言ってた。

チャーリーチャーリー:本当はストーンズの方がロンドンのいいところのお坊っちゃん。ビートルズはリバプール、港があって労働者の街で。そこの孤児院にいたりとか不良だったりとかね。

東風平東風平:ストーンズはロックンロールの原点って感じがしますね。60年代からやってきて、いまだにやってることが基本的に変わってない。ビートルズはバンバン進化していろんなことやり始めたけど、ストーンズは変わってない。そこが本当にカッコ良い。キースっていい意味で学習しないというか、地でやってますよね。俺はこれしかやんねえよっていう。

チャーリーチャーリー:でも時代の空気感は絶妙に取り入れてるんだよね。80年代のレコードを聞いたら80年代の音が入ってる。だけど、ちゃんとストーンズしてる。キースはギターさえ弾いてりゃ満足な感じだけど、ミックがビッグになりたい感をスゴい出してる。ミックが頭良いんだろうね、あのバンドは。バランスを見てうまくコントロールしてる。

東風平東風平:もともとミックとキースはマディ・ウォーターズが好きで、ブルースとかR&Bがベースになってるところがビートルズとは違うぞって感じがしますね。黒っぽい感じ。ビートルズはもうちょっと洗練されてる。

チャーリーチャーリー:そうかと思うとCMで結構キャッチーに使われたりね。マイクロソフトがWindows 95で「Start Me Up」を使ったと思ったら、今度はアップルがiMacで「She's a Rainbow」を流すという。なに張り合ってんだって(笑)


ザ・フー

ビートルズ、ストーンズときたら、やっぱりザ・フーを忘れるわけにはいきません。キース・ムーンは若くして亡くなりましたが、ピート・タウンゼンドいまなお健在、71歳です。あんだけギターとかドラムをぶっ壊せたら、さぞかし気持ち良いんだろうなー。


東風平東風平:ピート・タウンゼンドの得意技といえば、腕をぐるぐる回しながらギターを弾く風車奏法とギター・クラッシュ。今でもロック的なカッコ良さを象徴するパフォーマンスと言えますよね。彼がいなければ、KISSのポール・スタンレーもギター壊してなかったかも。ただ僕の中では、ドラムスのキース・ムーンの存在が一番大きかったりします。演奏スタイルも私生活も実にワイルド。日本ではちょっと過小評価されてるかも。

チャーリーチャーリー:ロジャー・ダルトリーはロックボーカリストのかっこいいところ全部持ってる感じ。マイクスタンドの使い方とかマイクをブンブン振り回すとか。で、3人が大暴れしてる後ろのほうで静かにベースを弾いてるのがジョン・エントウィッスル。静かにと言ってもベースの音は全然静かじゃなくてピートより弾いてんじゃないのってぐらいうるさい。しかし淡々と演奏する姿がカッコ良かった。

東風平東風平:大学時代、友達がモッズにハマって服装も音楽の趣味も一気にそっちに進んでいったんですが、彼には『さらば青春の光』を観ろとずいぶんすすめられましたね。当時はモッズvsロッカーズなんて対立もあったようですが、どっちかと言うとロッカーズ側のぼくにも、モッズ的ライフスタイルの垢抜けたカッコ良さはよくわかりました。

チャーリーチャーリー:破壊的なイメージのわりに曲は意外とポップなんだよね。デビューアルバムを米国のソウルレーベルBrunswickからリリースしてることからも、彼らがブルース、ソウルに憧れるイギリス人だったってのがわかる。そういえば、さっき調べたら今年もツアーの予定がしっかり入ってる。すごいなぁ。


エリック・クラプトン

クラプトンも今年で71歳。1963年、17歳にしてヤードバーズに参加したことでキャリアが始まりました。17歳ですよ、高2ですよ。さすがは「ギターの神」。私生活はいろいろ大変そうだけど…。


チャーリーチャーリー:いつまでも現役かと思っていたら、ギターの演奏について制限が出ているっていう衝撃のニュースが出てた。ついに来たかと。17歳からずっと第一線で弾いててもう50年以上のキャリアになるのかな。寂しいことだけど仕方ないのかも。

東風平東風平:僕がクラプトンで好きなのはブルースなんです。ブルースから始まって、結局ブルースから離れられない人ですよね。ブルースを一番大切にしている。子どもの頃に受けた衝撃をいまだにモチベーションにしてやってる感じ。10年ぐらい前にロバート・ジョンソンに捧げるアルバムを作ってましたね。結構いい年になってからずっと憧れだった人へのそういうアルバムを作るのってなかなかできないことですよ。

チャーリーチャーリー:イギリス人はブルースに強い憧れがあるよね。自分の国になかったもの、ストーンズもそうだけど黒人音楽への憧れがある。彼らの世代はブルース、次の世代はソウルだったりとかR&Bだったり。ザ・フーとかモッズの人たちはソウル系のカバーしてたり。

東風平東風平:ボーカリストとしてもスゴい。歌うまいですよね。ブルースのために生まれてきたような歌声なんだけど、ファルセットの使い方も完璧。Charさんが「あんな声で歌われたらそりゃモテるよ」って言ってました(笑)

チャーリーチャーリー:クラプトンはみんな知ってるってとこが偉大だよ。ヒット曲の幅が広い。クリーム時代レイラの頃アンプラグドも大当たりだし、「Change the world」みたいなバラードもある。それだけ知名度も広い。「アイ・ショット・ザ・シェリフ」でレゲエを取り入れたのも早かったよね。


キング・クリムゾン

リーダーのロバート・フリップが70歳。クリムゾンといえば『宮殿』のあの顔面ジャケットを思い出しますが、時代の変遷とともに進化しつづけている化けモンみたいなバンドらしいです。


東風平東風平:いまだに新しいことやってますよね。どこまで行くんだって感じで。

チャーリーチャーリー:真のプログレッシブ・ロックバンドだと僕は思ってる。言葉通り「進化し続けている」という意味でね。今回のアルバムでもトリプルドラムにしてみたり新たな試みが止むことがない。今までのクリムゾンって、その時々のロバート・フリップが考える音楽というかロックというか、それをやるバンドだったから、それに特化したメンツを集めてた。だからそのメンツでは昔の曲はできなかった。『レッド』はできるけど『宮殿』はできないとか。でも今回のメンバーは昔の曲もできるメンツになっている。対応能力がスゴく広くなっている。

東風平東風平:ロバート・フリップってもう何を考えてるかわかんない(笑)。頭の中どうなってるんだろう。ビートルズも違うけど、クリムゾンも時代によって全然違う。メンツもそれ用に集めてるから違うんでしょけど。ロックにこだわってもないんじゃないですかね、フリージャズみたいな頭ん中してますよね。

チャーリーチャーリー:常に一歩先というより、別世界にいるって感じ。

東風平東風平:それを声高に俺たちは別世界だぜって言うワケじゃなく、淡々とやっている。ファンを突き放してるワケでもない。不思議な距離感、なんか宇宙人ですよね、フリップって。

チャーリーチャーリー:次なにやらかすんだろうなってファンは楽しむ。こう来ましたかって。ステージの配置がドラム3人が真ん中にいたりする。フリップなんて端っこに座って黙って淡々と弾いているだけ。前に出てくることもない。

東風平東風平:リズム志向が最初からあった。リズムへのこだわりが強烈ですよね。ギタリストだけどコンポーザーでもある。全体を作るっていう。

チャーリーチャーリー:理解できない、理解できないからなおさら聴いちゃう。難しいことやろうとしてるのか、キャッチーなことやろうとしてるのかもわからない。常にはぐらかされるというか、でも取っ付きにくいワケでもない。なんか聴いちゃうんだよね。


オジー・オズボーン

オジー、ああ、オジー…。


東風平東風平:音痴なのは昔からですけど最近は輪をかけて音痴になってます。だけど歌えてはいる。もう最高です(笑)

チャーリーチャーリー:67歳。普通だったら死んでるけどね、若い頃あんなムチャしてたら。


AC/DC

2014年の新作も相変わらずAC/DCで最高すぎました。アンガス・ヤングが61歳、Voのブライアン・ジョンソンが68歳。ライブ行きてー!サンダー!ア・ン・ガ・ス!


東風平東風平:アンガスも全盛期に比べればやっぱり体力的にはキツそうだけど、いまでも頑張ってダックウォークやってますよね。あんなに動き回ってキツいと思うけどなあ。お兄ちゃんとブライアン・ジョンソンは残念ながら体調が…。

チャーリーチャーリー:クリムゾンとは対極で、AC/DCほどやってることは相変わらずなんだけどカッコ良いバンドはいない。

東風平東風平:流行に日和らないじゃないですか、AC/DCって。3コードで、ペンタトニックのソロで、やってることって曲の構造からいったらものスゴくシンプルで。ラモーンズの隣ぐらいの(笑)。それでここまでの曲にしちゃうんだから、やっぱりAC/DCは群を抜いている。ここまでのポピュラリティーを得られる曲を作れるって、もう才能ですよね。

チャーリーチャーリー:トレンドを意識しないからこそトレンドに置いてけぼりを喰らうことがないって感じかな。

東風平東風平:ライブでもいまだにアンガスがケツ出すと盛り上がるんですよ。おじいちゃんのストリップ見て何が楽しいんだって思うんだけど、ライブで見るとやっぱりウオーってなる。すごいもったいぶってもったいぶって、ダーってパンツを見せたら日の丸だったりするんですよ。そこでまた、ウオーって。さいたまスーパーアリーナの何万人が一斉にウオーって。

チャーリーチャーリー:わかってるんだね、そういうのが。エンターテイナー。

東風平東風平:ダックウォークだって、あれチャック・ベリーじゃないですか。結局、クラプトンと一緒でアンガスも子どもの頃に衝撃をうけたことをいまだにやってる。子どもの頃の原体験が忘れられずにやってる人がビッグになってる。そこのピュアさというかね、計算じゃないじゃないですか、ホントに自分が好きでやってるっていう。それをいまだにやり通しているカッコ良さ、そこの純粋なところの思いの強さがね。計算が入ってない純粋な思いの強さ、こっちからしたら惚れますよ。


まとめ

いかがだったでしょうか。どのミュージシャンも外見は歳相応になってきてますが、音楽への純粋な気持ちを持ち続けることによっていまだに若々しさを失ってませんよね。「子どもの頃に衝撃をうけたことが忘れられずにいまだにやってる」って本当にスゴいことだと思います。老いって気持ちなんですよ、やっぱ。