80・90年代のハードロック・ヘヴィメタルに思いを馳せる
こんにちは、Neowingのコニーデです。参考記事
「カセットテープのブームが来ているので自分だけのオリジナルカセットテープを作ってみよう」
カセット人気復活の現状はこちらの記事をご覧いただくとして、今回はNeowingのメタル好きに集まってもらい、思春期のころを思い出しながら選曲してもらいました。
今となっては化石のような話ですが、まだカセットテープが現役だった80年代から90年代にかけてメタル界隈は若者に人気がありました。
ボン・ジョヴィがお茶の間の人気者になり(アクシアのカセットテープのCM!)、ガンズがデビューし、メタリカがどんどんモンスター化していったあの頃。Neowingにも思春期をメタルと共に歩んでいたオジサンたちが政則、いや、生息しています。
ゲーアオさん「オススメ速弾きソング」
トップバッターはゲーアオさんです。高1のときに友だちが英語の先生とメタルの話をしているときに「お前にはわからんやろ」と邪険に扱われ、悔しさのあまり先生が手にしていたオジーのCDを強奪し半べそ状態で聴いたのがメタルの入り口だったとか。導入がやや歪んでいますが、大丈夫でしょうか。ゲーアオ:ギターはまったく弾けないんですが、オススメの速弾きギタリストたちの名曲を選んでみました。やっぱりオジーは外せませんね。兄もメタルが好きで、基本的に兄の部屋にあったモノを聴いていました。あ、兄もギターはまったく弾けないです。
A面
- YNGWIE MALMSTEEN / Far Beyond The Sun
- RACER X / Sacrifice
- VAN HALEN / Eruption
- OZZY OSBOURNE / Crazy Train
- DREAM THEATER / Pull Me Under
B面
- OZZY OSBOURNE / 暗闇にドッキリ!
- RIOT / Thundersteel
- VINNIE MOORE / In Corntrol
- STEVE VAI / For The Love Of God
- DIO / We Rock
ところで今回、ただ選曲を持ち寄るだけでは面白くないので、キャリアん十年(自称)だというメタル系音楽ライターのトミー・李さんをお招きして寸評をしていただくことになりました。「足立区でメタルを語らせたら俺の右に出る者はいねえ」が口癖だそうです。小っちゃ!
トミー・李:80年代の速弾きギタリスト好きなら避けては通れない『シュラプネル』系アーティストもきちんとラインナップされた、とても筋の通った選曲だな。ポール・ギルバートを挙げるにしても、MR.BIGではなく、あえてRACER Xから曲を選んでくるあたりにコダワリが感じられるし、一瞬かぶってるように見えるオジーにしても、ランディ・ローズとジェイク・E.リーというギタリストの異なる時代の曲が選ばれている。ポイント高いね。ただ、これだけギター・ヒーローを並べておきながら、本人がまったくギターを弾かない点はマイナスだ。いくら弾いてもビニール傘からは爆音は出ないぜ!まずはピックもシールドもアンプも付いてくる通信販売の初心者セットを手に入れるところから、レッツ・ビギン!
ゲーアオ:ギターの件は、兄と相談してみます…。
兄弟そろって「陸サーファー」ならぬ「陸ギタリスト」が発覚してしまったゲーアオさん。果たしてギターを手にとる日が来るんでしょうか。いっそのこと当時の先生に「お前にはできんやろ」と言い放たれた方がやる気が出たりして。
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矢風洛典さん「体感速度上昇」
メタルを聴きはじめたのは高2とやや遅咲きな矢風洛典さん。当時クラスメイトにスペクトラムのメンバーのご子息がいて、彼の家に遊びにいくとメタルCDが山ほどあり、いろいろ借りていくうちに好きになっていったとのこと。初めて行ったライブは、ジョージ・マイケル。矢風洛典:僕のテーマは“体感速度を上げてくれる曲たち”です。ドライブやジョギング、仕事中などテンションを上げたいときに聴きたい曲を選びました。当時はPANTERAのフィル・アンセルモに憧れて坊主にしたりしてました。
A面
- BON JOVI / Blood On Blood
- RATT / Body Talk
- CINDERELLA / Gypsy Road
- MONSTER MAGNET / Powertrip
- UGLY KID JOE / Everything About You
B面
- BLUE MURDER / We All Fall Down
- THE ALMIGHTY / Jonestown Mind
- CATHEDRAL / Midnight Mountain
- SKIN / How Lucky You Are
- THE WiLDHEARTS / I Wanna Go Where The People Go
トミー・李:メタルの三大要素といえば、スピード、ヘヴィネス、アグレッション。そんな中から特にスピードに焦点を当てて選曲したんだな。なるほど。しかも、A面にアメリカ勢、B面にイギリス勢をまとめるという気遣いも表現してみたと。なるほど、なるほど。・・・ん?そのわりには、MOTORHEADもSLAYERもEXODUSもDRAGONFORCEもMUNICIPAL WASTEもNAPALM DEATHもDILLINGER ESCAPE PLANもAGORAPHOBIC NOSEBLEEDも(以下省略)入ってないじゃないか!え?あくまで“体感速度”の話だって?あ、そうだったな。それでもグルーヴ系の曲が多めに入ってる気がするが、本人がこれでテンション上がるっつうならもちろんOKだ。ただ、ベッドの上で早すぎるのは嫌われるから、夜のスピード違反には要注意だぜ!
矢風洛典:最後、下ネタじゃないですか。古いタイプの。
RATTなつかしー!というか、初めて行ったライブがジョージ・マイケルだってことにもっとみんな驚いた方がいいと思いますよ。心がザワつくじゃないですか。メタル素養のある人がジョージ・マイケル行きますかね???
Akiraさん「深夜の夢想」
中学のころ、MOTLEY CRUE『Shout at the Devil』やIRON MAIDEN『Powerslave』のジャケットに衝撃を受け魅かれていったAkiraさん。図工の授業でラウドネスのロゴを描いていたそうです。たしかにロゴってみんな描いてた!初めて行ったライブは、MOTLEY CRUE「Dr. Feelgood」ツアー。Akira:必ずしも技巧的な演奏ばかりではないけど、頭の中にこびりついて離れないノリ重視のギターリフが印象的な曲を集めました。何度もリピートして自分がギターを弾いてるつもりの夢想の中で高揚感に浸り、深夜の試験勉強を乗り切るイメージです。
A面
- JOE SATRIANI / Flying in a Blue Dream
- EXTREME / Pornograffitti
- AEROSMITH / Permanent Vacation
- MOTLEY CRUE / Same Ol' Situation(S.O.S)
- VAN HALEN / 5150
B面
- ANTHRAX / Intro To Reality
- MEGADETH / Anarchy In The U.K.
- METALLICA / ...And Justice For All
- GUNS N' ROSES / Rocket Queen
- STEVE VAI / The Riddle
トミー・李:お、ご丁寧に「深夜の夢想」なんてシャレたタイトルを付けたんだな。俺ならさしずめ、朝起きてビックリの深夜の夢・・・いや、止めておこう。それはさておき、スティーヴ・ヴァイやエディ・ヴァン・ヘイレンのようなギター・ヒーローの曲がいくつか選ばれているあたりはゲーアオ君とちょっとカブり気味だが、スラッシュ・メタル系からロックン・ロール系、さらにはフュージョン系のジョー・サトリアーニからグルーヴィなEXTREMEまで、幅広い選曲がなされているな。なかなか柔軟な耳を持っていると見た。ただ、残念ながら、選曲はちょっとばかり外し気味だ。ANTHRAXなんて「Belly Of The Beast」のイントロみたいな曲だしね。勉強ももちろん大切だけど、何事もヤリスギは禁物だ!
Akira:自分が弾いてるつもりの夢想にひたれる曲となるとこういう選曲になりました。あと、最初と最後、下ネタですからね。
METALLICAの4枚目となるアルバム『...And Justice For All』は名曲揃いなのにミックスが薄っぺらい(ベースが聞こえない、スネアがペラペラなど)って話になったんですが、トミーさん(下ネタオヤジ)によると、TESTAMENTやEXODUSもなぜか4枚目はミックスに失敗して薄っぺらいとのこと。バンドにとって4枚目って鬼門なんですかね。
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東風平さん「ウッカリHigh School Heavy Metal(登校編)」
おはようからおやすみまで、まさにライオンの如くメタルを聴きまくっていた高校生の東風平さん。メタリカのジェイムズ・ヘットフィールドに憧れて血の滲むような練習を重ね、晴れて高3の文化祭でメタリカのコピー・バンドをやるはずが、なぜか横浜銀蠅のコピー・バンドでドラムをやることに。ああ、青春の蹉跌。ああ、青春の躓き。東風平:今回はぼくのホロ苦い高校時代の思い出をぶつけてみました。選曲は「ツッパリHigh School Rock'n Roll(登校編)」へのオマージュです。“リーゼント”といえばグラハム・ボネット(初期ジェフ・テイト説もありますが)、“弁当”を英語にするとこれ、って具合に。いえ、ダジャレじゃないです。あくまでオマージュです。そこんとこ、夜露死苦。
A面
- GRAHAM BONNETT / Night Games
- MARILYN MANSON / Lunchbox
- AC/DC / Girls Got Rhythm
- QUEEN / Teo Toriatte (Let Us Cling Together)
- ZZ TOP / Sharp Dressed Man
B面
- SOULFLY / Eye For An Eye
- DANZIG / Mother
- OZZY OSBOURNE / Crazy Train
- MOTLEY CRUE / Smokin' In The Boys Room
- IRON MAIDEN / Run To The Hills
トミー・李:ふむふむ、ネタ元の歌詞に出てくる言葉を拾いながら選曲していったわけか。なるほど、アイデアとしてはなかなかおもしろいぞ。ただ、この程度じゃあオマージュとは呼べないな。残念ながら、これではやっぱりダジャレのレベルだ。だいたい、このコンセプトでRAMONESの「Rock 'N' Roll High School」が挙がってないのはどうかと思うぜ。それに、歌詞に引っ張られるあまり、プレイリスト全体の流れや情緒ってものがほとんど考慮されてないのもいただけないな。オリジナルテープとは、そいつの思いや感性や音楽体験を映し出す鏡なんだ。自分らしいこだわりを反映させなきゃ、ただの売り物のコンピと同じだぜ!…おっと、ついマジメに語っちまったが、すごく大事なことだ。そこんとこ、夜露死苦。
東風平:「策士 策に溺れる」か…。ふっ、どうやら僕、あの頃のピュアな気持ちを忘れていたようです。トミーさん、大切なことを思い出させてくれてありがとう!(号泣)
下ネタ封印して急に真面目なコメント!東風平さん、あっちでトミーさんの肩を借りて大泣きしちゃってますが、そもそもメタリカやるはずが横浜銀蠅ってトラウマレベルのギャップですよね。しかもドラム。文化祭のドラムってモテないんすよねえ、ギターかボーカルばっか女子にキャーキャー言われて。わかりますよ、そのギャップをダジャレで埋めないと心の折り合いつかないもの。あ、オマージュでしたね。そこんとこ、夜露死苦。
ピンク・ダブロウさん「思春期の狭間で」
4つ上の兄がメタル好きだった影響で、小学生だった80年代中盤から家ではオジーやモトリーが流れていたダブロウさん。最初はうるさくて嫌だったそうですが、中学生のころから自分も好きになったとのこと。初めて行ったライブはSKID ROWの89年初来日NHKホール。ダブロウ:深夜にやっていたMTVヘッドバンガーズ・ボールやPURE ROCKをビデオが擦り切れるまで観てました。メタルPVといえば、エロい格好したパツキン姉ちゃんがクネクネ踊ってるんですが、中学生ってこともあり、僕はそこでいろいろとアレさせてもらいました。
A面:性の目覚め
- RATT / I Want a Woman
- CINDERELLA / Somebody Save Me
- ALICE COOPER / Poison
- MOTLEY CRUE / Girls, Girls, Girls
- WHITESNAKE / Is This Love
B面:漢メタル道
- SLAYER / War Ensemble
- OVERKILL / Elimination
- DANZIG / Mother
- PANTERA / Mouth For War
- METALLICA / One
トミー・李:MTVヘッドバンガーズ・ボールは俺も観てたぜ。90年代にMCをやってたヴァネッサ姐さんは当時、THE ALMIGHTYのリッキー・ウォリックと結婚してたんだよな。どうやらその後、離婚しちまったようだけど…。それはさておき、A面・B面それぞれにタイトルを付けたんだな。どっちもグレイトなテーマだ。特にA面はダブロウ君の夜のオカ…、いや、リビドーを刺激したセクスィーなビデオ・クリップの曲ばかり集めてみたと。つまり、バラードでも速弾きしまくってたわけだな。なんともイカ臭…、いや、青臭い中学生らしい思い出だ。対してB面はずいぶん硬派にまとめてあるね。こっちはビデオも全部モノクロだし。香水の匂いがしそうなA面、汗臭そうなB面。メリハリのあるナイスなセレクションだ。
ダブロウ:せっかく下ネタ封印と思って安心してたら「バラードでも速弾き」ってどういうこと!イカ臭ってもうハッキリ言っちゃってますからね。それにしても、ALICE COOPER『Poison』の姉ちゃんのケツにはお世話になりました。はい。
まあ、テーマがテーマだけに我慢できずに封印したはずの下ネタが復活してしまったんでしょう。自業自得です、ダブロウさん。それにしてもあの頃のメタルPVの無意味なセクシーさって何だったんですかね。WHITESNAKE 『Is This Love』なんてもうカヴァデールやっちゃって…。そらBURRN!の喜国雅彦先生のマンガでネタにされますよ。
まとめ
いかがだったでしょうか。トミーさんの昭和テイスト溢れる下ネタ砲はさておき、思春期の思い出や飾りのない正直な趣味趣向が垣間見れる、バラエティ豊かな選曲が並んだんじゃないでしょうか。音楽を好きになる動機や理由は人それぞれ。それをオリジナルカセットというひとつの形にすることで、「人となり」が立ちあがってくるような気がします。僕らはそれを「個性」と呼び、友だちや仲間と共有することで様々な音楽と出会うことができると思います。
みなさんも是非、友だちや職場の仲間たちとオリジナルカセットを作りあって、音楽や思い出話なんかに花を咲かせてみてください。あの人の意外な趣味、思いもよらなかった話が聞けたりするかもしれませんよ!