ジョニ・ミッチェル/ ブルー (1971)

ローリングストーン紙が「史上最高のソングライターの1人」と称賛を送る、カナダ出身の世界的SSWジョニ・ミッチェル。 フォークシンガーとしてデビュー以降ポップ、ロック、ジャズなどジャンルの垣根を超えた楽曲を生み出し、詩の世界も女性的な視点で書かれた物や哲学的、社会的な鋭い詩の楽曲など、とらわれない自由奔放なssw。1971年発表の4th「ブルー」はジョニの自由な歌と詩とジョニ・ミッチェルの魅力が堪能できる名盤です。当時親交のあったジェームス・テイラー をゲストに迎え、カナダを思わせるアルバム全体を覆う寒々しい空気感を閉じ込めた1枚。

またフォークの枠を飛び越えた音楽性は初期のオルタナと評され、プリンスビョークベッカ・スティーヴンス大貫妙子などジャンルを問わず多くのミュージシャンに敬愛されています。

本作はローリングストーン誌の2020年改訂版「The 500 Greatest Albums of All Time(歴代最高のアルバム500選)」では3位に選定されるなど、発売から半世紀が経過した今日でも輝きを放っています。

キャロル・キング / つづれおり (1971)

SSW金字塔としてお馴染みキャロル・キングの71年発表作品。

彼女は元々は旦那であるジェリー・ゴフィンとゴフィン=キング名義で楽曲を制作する職業作家で、代表的な提供曲にソウルの女王アレサ・フランクリン /ナチュラル・ウーマン(1967)やシュレルズ /ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロー(1960)>リトル・エヴァ /ロコ・モーション(1962)などがあります。 ジョン・レノン も敬愛しており「レノン=マッカートニーのコンビで、ゴフィン=キングのようになりたかった。」とも語っています。そんな素晴らしいライティングセンスを持つ彼女がついに自身でボーカルを取ったのが本作「つづれおり」です。

収録曲は、先ほど挙げたシュレルズへの提供曲「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロー」のセルフカバーや最優秀楽曲賞「君の友だち」などが含まれ全曲必聴です! また、こちらの作品にもジェームス・テイラーが参加しており、「君の友だち」を自身のアルバムでカバーしたりもしています(ジェームス・テイラーverもGOOD!)

女性らしい恋愛や生活など日常を切り取った歌詞に普遍的なメロディーの全12曲が収録された、SSWの時代を切り開いたPOPS界普遍の傑作です。猫ジャケファンからも絶大な人気を集める、暖かみのあるジャケットも素敵ですね。

マーゴ・ガーヤン / テイク・ア・ピクチャー (1968)

US出身の女性SSWで、キャロル・キングと同様に職業作曲としてキャリアをスタート。提供曲にはサンシャイン・ポップ~ソフトロックの大名曲スパンキー&アワー・ギャング による「Sunday Mornin'」などがあります。そんな彼女がボーカルを取った唯一作が1968年発表の「テイク・ア・ピクチャー」です。

ソフトロック~ジャズ、サイケまで絶妙なバランスで混ざり合うメロディーに乗せられるハスキー・ロリータ・ウィスパーボイスが最高の1枚です。長年ソフトロック/サイケ幻の作品とされ、オリジナルのレコードは中古市場に全く出てこないファン垂涎の一品! 近年もCD・LPでのリイシューに加え、デモ音源集、未発表音源など発掘音源が発表されるたびに、世界中のファンが歓喜しており、発表から半世紀を超えてなお輝きを放っています。

ジャケットも美しいソフトサイケ傑作を是非!

キャサリン・ハウ / ハリー(197)

英国はヨークシャー出身のフィメール・フォーク重要人キャサリン・ハウ の2ndアルバム。SSW秘宝と称される1stを発表後、4年を置いてリリースされた2ndアルバム。 この作品の魅力は何といっても透明感溢れる天国のような歌声です。

エルトン・ジョンキャット・スティーブンスなどの多くのSSW名盤を手がけたデル・ニューマンデル・ニューマンによる、ソフトロックとAORをつなぐようなコンテンポラリーなアレンジもGOOD!

サンディ・デニー/ 海と私のねじれたキャンドル (1971)

ストローブスフェアポート・コンヴェンションといった60年代英国の重要バンドを渡り歩いた、 フォーク/トラッド系フィメールSSWサンディー・デニー。英国史上最も偉大な女性SSWとも称される彼女がフェアポート・コンヴェンションのメンバー協力のもと、 1971年についに発表したソロアルバム第一作目です。

影がありながらも艶やかなボーカルと怪しげメロトロンが織りなす、寒々しい雰囲気を纏った本作は、 トラッドの香りを存分に閉じ込め、唯一無二な歌声とメロディーラインが堪能できる英国産フォーク至宝と呼ばれるにふさわしいアルバムです。 サンディー・デニーがコーヒー占いをしている印象的なアートワークは Black Sabbath「Paranoid」David Bowie「The Man Who Sold the World」といった名作ジャケを制作したキーフが担当。

また彼女は「レッド・ツェッペリン IV」収録の名曲「限りなき戦い」でロバート・プラントとデュエットもしており、 レッド・ツェッペリンのファンの方にも大推薦です!

カレン・ダルトン/ イン・マイ・オウン・タイム (1971)

オクラホマ出身、チェロキー族にルーツを持つ、アシッドフォーク/白人フォーク・ブルースの女王カレン・ダルトン。1920年代~30年初頭までにブルースを中心に重要作を多く発表した伝説のレーベル、パラマウント・レコーズから1971年に発表した2ndアルバムです。彼女のアイコンでもあるバンジョーと12弦ギターと、独特な物寂しく一度聴いたら忘れられない素晴らしい歌声。自作曲はあまりなく、伝統的なナンバーを歌っています。

また彼女に魅了されたボブ・ディランは「一番好きな歌手はカレン・ダルトンだった。カレンはビリー・ホリデイのような声で、ジミーリードドのようなギターを弾いていたんだ」と称賛しており、商業的な成功はありませんでしたが素晴らしいミュージシャンであることはお墨付きです。

ジュディ・シル/ イン・マイ・オウン・ドリーム (1971)

SSW名門アサイラムレーベル第1号ミュージシャンとして71年にデビューし、今なお影響を与え続けるミステリアスなSSW ジュディ・シル。ギター、ピアノ、歌声んらされる音の全てが透明感に溢れ高潔まで感じさせ、聴くたびに緊張感を抱かせるほど美しく唯一無二な作品です。

彼女の音楽性のルーツは、バッハなどのクラシックや、服役中に監獄で出会ったゴスペルがあり、クラシカルな音楽から影響を受けた楽曲はジャンルには言い表せないほど独自なモノになっています。

ヴァシュティ・バニヤンといったミュージシャン等と同じく90年代のリバイバルで再評価された一人で、CD化やLP再発などが何度もされています。 また彼女の死後の2005年に発売された未発表音源集「Dreams Come True」のミックス担当はソニックユースジム・オルークが担当。
ROCK/POPS幅広いジャンルから彼女が敬愛されているのがうかがえる人選だと感じます。

色あせることのないどこまでもピュアな傑作を是非!

まとめ

今回の女性SSW特集いかがだったでしょうか。どれもポップマジックにかけられた、後世に残る名盤たちです。余談になりますが、個人的にフィメールSSW達の作品は寒くなってきた季節に一層沁みてくるなと感じます。本特集を読まれた方が、一生モノの1枚を見つける手助けになれば幸いです!

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