POP ICON IS BACK!!! 

ジャネット・ジャクソンがついに戻ってきた。7年という歳月を長いと感じるか、短いと感じるかは人それぞれだが、この7年間に彼女の身の回りで起こったさまざまな出来事は、我々の想像以上に壮絶で過酷な運命だったのかもしれない。

2008年リリースの前作『ディシプリン』の売上不振とアイランドレーベルとの契約解除、2009年6月には親愛なる兄、マイケル・ジャクソンとの永遠の別れ。以降、音楽界で彼女の名前を耳にする機会はほとんどなく、映画『理想の夫婦のつくり方(Why Did I Get Married Too?)』への出演程度で、このまま引退するのではという憶測が飛び交っていたほどだった。

そんな噂を一蹴するかのように、2016年、"究極のポップアイコン=ジャネット"が7年のブランクを経て音楽界に戻ってきた。これこそがまさに事件であり、感動に値する出来事である。

ジャム&ルイスと共同プロデュース

ニューアルバムのタイトル『アンブレイカブル』は“絶対に壊れることのない、揺るぎないもの”という意味で、今回再びタッグを組んだプロデューサーのジャム&ルイスいわく、ジャネットとの関係性を表現した"絆"そのものを示しているとのこと。

ジャネットのファンであれば、ジャネット=ジャム&ルイスという図式を容易に理解できるだろう。30年に渡り築き上げたジャネットと彼らの揺るぎない"絆"があってこそ完成した作品であることは間違いなさそうだ。

幅広いジャンルを網羅

全20曲、トータル演奏時間76分のフルボリュームとなった『アンブレイカブル』。最新トレンドを取り込むジャネット流の音楽スタイルは、今作でも随所に見受けられる。EDM調のポップハウス「シュッダ・ノウン・ベター」はその代表例。その一方で、中盤のシンセとピアノソロが80年代的な懐かしさを感じさせる「ナイト」をはじめ、往年のR&Bタイプの楽曲や彼女のボーカルセンスがキラリと光るミディアムバラードも多数収録されている。

また、今作ではアルバムの中で最もダンサブルな楽曲「バーンイットアップ !」で過去作でも共演している相性抜群のミッシー・エリオットが、リードトラックとなった「ノ―・スリープ」では"ヒップホップ界の知性派風雲児"と称されるJ・コールがゲストミュージシャンとして参加している。

なお、日本盤のみボーナストラックが3曲収録されており、その中の1曲である「
ノー・スリープ PKCZ(R) Remix」は、EXILE HIRO、DJ MAKIDAI、VERBAL (m-flo)、DJ DARUMAが中心となるチーム" Primal Knowledge ChamberZ"によるリミックスナンバー。

余談だが、ジャネットといえば曲間に30秒程度の"インタールード"トラックを挟むのが常だったが、新作ではそれに該当する楽曲はほぼ見当たらない。コアファンであれば一つの楽しみであったわけだが、インタールードを挟まずに楽曲だけのトータルクオリティーで勝負に出た現われなのかもしれない。

新作発表とあわせてワールドツアーも始まり、2016年11月には14年ぶりの来日公演も決定。完全復活を遂げたジャネットに今後も大いに注目していただきたい。