SEPULTURA

 国内第4位の人口を誇る大都市ベロオリゾンテにて1984年に結成された国民的人気メタル・バンド。スタート当初はVENOM、CELTIC FROST、KREATORなどの影響色濃い邪悪なスラッシュ・メタルを指向していたが、アルバムを重ねるごとに音楽性を拡大、1996年発表の6thアルバム「ROOTS」でトライバル・メタルと称されるユニークなスタイルを確立し、頂点をきわめる。しかし直後、内紛により中心人物のマックス・カヴァレラ(vo,g)が脱退、バンドはデリック・グリーン(vo)を迎えて新たな個性を模索することに。2006年にはマックスの実弟イゴール(ds)も脱退してしまったが、新編成で現在も活動を続けている。

♪Dead Embryonic Cells from 'ARISE'


SOULFLY

 深刻なメンバー間の対立の末、自身が創設したSEPULTURAから追い出されたマックス・カヴァレラ(vo,g)が、新たなラインナップを率いて1997年に結成したトライバル/グルーヴ・メタル・バンド。DISCHARGEやBAD BRAINSなどから受け継いだ荒々しいハードコア・スピリットと、SEPULTURA末期に実践されていたトライバルなテイストを融合させ、メタル史上に金字塔を打ち立てた傑作「ROOTS」のネクスト・レベルを提示した。長らく所属した『Roadrunner』を離れ、新たに『Nuclear Blast』へとレーベルを移して2013年に放った目下最新の9thアルバム「SAVAGES」でもバンドのカリスマ性は健在。

♪Prophecy from 'PROPHECY'


CAVALERA CONSPIRACY

 SOULFLYを率いて意欲的にメタルの地平を切り開いていたマックス・カヴァレラ(vo,g)と、SEPULTURAに残ってポジティヴに試行錯誤していたイゴール・カヴァレラ(ds)が、10年以上もの長きに及んだ恩讐の日々を乗り越え、心機一転、再び未来を見据えて結成したスラッシュ・メタル・バンド。荒々しい攻撃性をむき出しにしたマックスのヴォーカルと強烈なリフ・ワーク、目を見張るテクニックと生々しいフィーリングが溶け合わされたイゴールのドラミングによって引き起こされる壮絶な化学反応は、ただのノスタルジーとはもちろん一線を画する。“失われた10年”をようやく取り戻した兄弟の邂逅に感涙!

♪Killing Inside from 'BLUNT FORCE TRAUMA'


DE LA TIERRA

 1987年にSEPULTURAに加入して以来、その柔軟なセンスと優れたテクニックでバンドの音楽性にあざやかなヴァラエティを加えてきたアンドレアス・キッサー(g,vo)の音頭取りで2012年に結成されたグルーヴ・メタル・バンド。アルゼンチンを拠点に人気を博したA.N.I.M.A.L.のアンドレス・ギメネス(vo,g)、同じくアルゼンチンを代表するスカ・バンドのLOS FABULOSOS CADILLACSで活動していたセニョール・フラヴィオ(b)、メキシコで絶大な支持を集めるMANAのアレックス・ゴンザレス(ds)という、ラテン・アメリカのツワモノ達が顔を揃える。スペイン語/ポルトガル語のメタル・ヴォーカルが新鮮!

♪Maldita Historia from 'DE LA TIERRA'


ANGRA

 ファンの間で“ブラジルの至宝”とも称されるサンパウロ出身の技巧派クインテット。VIPERで一時代を築いたアンドレ・マトス(vo)と、ソングライティングの要ラファエル・ビッテンコート(g)を中心に1991年に結成。当初はHELLOWEENやGAMMA RAYなどに通じるジャーマン様式をベースに、クラシックやラテンなどの要素を加えた叙情的なメロディック・パワー・メタルを体現していたが、バンドの成熟と共にプログレッシヴな演出術に磨きをかけ、世界的な評価を確立する。昨年、RHAPSODY OF FIREのファビオ・リオーネ(vo)を迎えて行なわれた「ANGELS CRY」発表20周年記念ライヴも話題となった。

♪Rebirth from 'REBIRTH'


ALMAH

 ANGRAのフロントマンとして世界的躍進に大いに力を尽くした実力者、エドゥ・ファラスキ(vo)率いるメロディック・パワー・メタル・バンド。2006年に結成された当初はエドゥが作詞・作曲・アレンジ・プロデュース・レコーディングの大部分を1人で取り仕切る完全なソロ・プロジェクトだったが、2008年発表の2ndアルバム「FRAGILE EQUALITY」を機に、ブラジルで名の通った技巧派ミュージシャンばかりを集め、フルタイムのバンドとして再スタートを切る。そのサウンドは“エドゥのキャリアの中で最もヘヴィでアグレッシヴ”とも言われるが、美麗なメロディやスリリングな曲展開も大いに聴きどころ。

♪Living And Drifting from 'MOTION'


HANGAR

 リカルド・コンフェッソーリ(ds)の後任としてANGRAに加入、確かなテクニックで2000年代のANGRAを強力に支えたアキレス・プリースター(ds)と、同じくANGRAのサポート・メンバーとしてレコーディングやライヴなどに多大な貢献を果たしたファビオ・ラグーナ(key)を擁するポルト・アレグレ出身の6人組。アグレッシヴでありながらメロディック、パワフルでありながらメランコリック、プログレッシヴなテイストも盛り込まれた劇的なパワー・メタルが持ち味。2009年に発表された高品質な4thアルバム「INFALLIBLE」を最後にしばらく日本盤のリリースが途絶えているが、現在も鋭意活動中。

♪Dreaming Of Black Waves from 'INFALLIBLE'


HIBRIA

 2004年に発表したデビュー作「DEFYING THE RULES」が通なファンの耳に止まり、ここ日本でも一気にブレイクを果たしたポルト・アレグレ出身の5人組。JUDAS PRIESTやIRON MAIDENをはじめとするシーンの開拓者から、METALLICAやMEGADETHといったスラッシュ・メタルの先駆者、さらにはDREAM THEATERやHELLOWEENといった革命者まで、ヘヴィ・メタルの歴史にエポックメイキングな存在感を打ち立てた各国・各世代のベテラン達に大きな影響を受けながら、現代的な感覚も持ち合わせた良質な音楽性が最大のセールス・ポイント。パワーとスピード、美しいメロディを愛する正統派メタル・ファン向け!

♪Shoot Me Down from 'BLIND RIDE'


SOULSPELL

 EDGUYのトビアス・サメット(vo)が主宰したAVANTASIAの活躍により大きな盛り上がりを見せたメタル・オペラ。その申し子というべきサンパウロ出身のエレノ・ヴァーリ(ds)によって2004年に立ち上げられた一大プロジェクト。同郷のエドゥ・ファラスキ(元ANGRA~現ALMAH)、ユーリ・サンソン(HIBRIA)、レナート・トリビュジー(TRIBUZY)らに加え、ジョン・オリヴァ(SAVATAGE)、ザック・スティーヴンス(元SAVATAGE~現CIRCLE II CIRCLE)、ローランド・グラポウ(元HELLOWEEN~現MASTERPLAN)なども参加した壮大なメロディック・パワー・メタル叙事詩は一聴の価値あり。

TRIBUZY

 南米屈指の大都市リオデジャネイロを拠点とするパワー・メタル・バンド。10代中頃から地元のシーンで活動していた経験豊富なフロントマン、レナート・トリビュジー(vo)を中心に2005年に結成、同年に発表したデビュー・アルバム「EXECUTION」に、ブルース・ディッキンソン(IRON MAIDEN)、マイケル・キスク(元HELLOWEEN~現UNISONIC)、キコ・ルーレイロ(ANGRA)など、そうそうたるゲスト陣が参加していたことも話題となり、彼らの名前はほどなく早耳なメタル・ファンの間で知られるところとなる。が、2007年に発表したライヴ盤「EXECUTION LIVE REUNION」を最後に、バンドは現在も開店休業中。

SCELERATA

 ブラジル南部で評判を確立したことからANGRAのメンバー達と親交が生まれ、彼らの後押しを受けて念願のデビューを果たすこととなったポルト・アレグレ出身のメロディック・パワー・メタル・バンド。当時ANGRAに在籍していたエドゥ・ファラスキ(vo)をゲストに迎えて制作された1stアルバムが、母国のロック・マガジンによる読者人気投票でSEPULTURA、ANGRAに次ぐ第3位に選出されるなど、スタート当初から高評価を得ていた。2010年に結成時からのフロントマン、カール・カサグランデが脱退する危機もあったが、後任にファビオ・フアン(vo)を迎えてバンドを再建、2012年に最新作「THE SNIPER」を発表。

DISTRAUGHT

 HIBRIAやSCELERATAと同じポルト・アレグレのシーンで90年代前半から活動しているエクストリーム・メタルのベテラン。とにかくライヴをこなすことでファンベースを築き上げてきた現場主義なバンドらしく、これまでにDESTRUCTION、TANKARD、VADERらと共演した経験があるとのこと。本邦デビュー作となった通算4枚目のフルレンス「UNNATURAL DISPLAY OF ART」には、当時HIBRIAに在籍していたディエゴ・カスペル(g)、HANGARのエドゥアルド・マルティネス(g)、さらに知る人ぞ知るカルト・スラッシュ・メタル・バンド、LEVIAETHANのフラヴィオ・ソアレス(vo,b)がゲスト参加している。

AGE OF ARTEMIS

 2008年に結成された新鋭ながら、ここ日本でも既にマニアの関心を集めている首都ブラジリア出身のメロディック・スピード・メタル・バンド。母国の先達から受け継いだドラマティックな音楽性、豊かな表現力を備えたヴォーカル、テクニカルなツイン・ギターが紡ぎ出す美麗なハーモニー、DRAGONFORCEを彷彿させる驚異的なスピード・コントロール術など、もともと高い能力を備えたバンドではあったが、デビュー作「OVERCOMING LIMITS」をエドゥ・ファラスキ(元ANGRA~現ALMAH)がプロデュースしたことで知名度が一気にアップした。この夏に注目の2ndアルバム「THE WAKING HOUR」を発表予定。

♪Take Me Home from 'OVERCOMING LIMITS'


メタル天国ブラジルはオーディエンスも激アツ!

 残念すぎることに、IRON MAIDENの傑作ライヴ『ROCK IN RIO』は現在、取り扱いしておりませんが、メタル熱の高いことで知られる南米のオーディエンスの天井知らずなフィーバーっぷりを伝えてくれる映像作品を、ちょこっとだけ集めてみました。