誤解を恐れず語るならば、このアルバムは文句なしの傑作アルバムと称したい。

血が沸騰するような熱量を持ったアルバムだ。

2010年のアルバム「Orkonpood」でのデビュー以来、新人離れした存在感とサウンドを携えて我々の前に登場した小林太郎。

そんな彼が2013年1月16日に1stメジャー フルアルバム「tremolo」をリリースした。

アルバムのド頭から刺激で脳天をぶち抜いてくれるような、荒々しいギターサウンドが炸裂の「frontier」、今回のアルバムのキーともなるシンプルだけれども強いメッセージが印象的な楽曲「答えを消していけ」で凄みのある表情を浮かべたかと思えば、シンプルなアコースティックギターサウンドに乗せて柔らかな歌声で歌い上げる「星わたり」など、作品によって全く違う表情を見せてくれる。
サウンドの間口の広さを実感させらるだけでなく、ヴォーカリストとしての表現力も存分に楽しめる作品となっているのだ。

弱冠22歳にしてこんなアルバムを作ってしまうなんて末恐ろしくもあり、また頼もしくもあり。
これからますます小林太郎から目が離せそうになくなりそうだ。

小林太郎が放つアルバム「tremolo」。

これはロック好きなら必聴アルバム。マジでオススメの1枚。

Profile

小林太郎、平成生まれの22歳。静岡県浜松市出身。
2010年4月にファーストアルバム「Orkonpood」をリリース、iTunesが選ぶ2010年最も活躍が期待される新人に選出される。
このアルバムに収録されている「美紗子ちゃん」はドラマ「警部補 矢部謙三(TRICKスピンオフ)」の主題歌に決定。
夏にはロッキンジャパン・サマーソニック等の大型フェスに多数出演。
2010年9月にはテレビ朝日「ミュージックステーション」への出演も果たす。
また同年、初となる全国ワンマンライブツアー「TOUR2010“DANCING SHIVA”」を敢行。
2011年夏、“小林太郎とYE$MAN”として、サマーソニック・ARABAKI ROCK FEST・JOIN ALIVE等の大型フェスに出演。
2012年より再度ソロ名義で活動開始。
小林太郎公式サイト

小林太郎インタビュー

昨年2012年は小林さんにとってどのような1年でしたか?

小林:2012年7月にリリースした「MILESTONE」というミニアルバムが久しぶりの作品ということもあって、音楽的に再出発のような一年だったように思えます。「初めまして」や「お久しぶりです」といった感じでライブもたくさんさせてもらいました。

2013年1月16日に1st メジャー フルアルバム「tremolo」がリリースされますが、アルバムが完成した今の率直なお気持ちを教えて下さい。

小林:純粋にすっきりした気持ちですね。まずはこんなアルバム(「tremolo」)が作りたかったので、ほっとした感じです。

今回のアルバムはどのような作品に仕上がったと思いますか?

小林:これまでのアルバムは“自分の音楽をする”ということがテーマでありました。この「tremolo」も同じく自分自身がテーマなわけですが、今までの作品の中で最も自分という個性が出せたのではないかと思います。

アルバムタイトルを「tremolo」と名づけたのはどういうところからなのですか?

小林:ギターの音を変化させる機材「エフェクター」の中に「トレモロ」というエフェクターがあるんですね。音を小刻みに振幅させる効果がありますが、例えでいえば自分に与えられた音楽の才能が「ギターの音」、その才能を変化させる・小刻みに震わせる自分の気性や人格が「トレモロ」ということを今回感じました。なので、音楽の才能を自分とは別とするならば、自分自身がギターのエフェクターの「トレモロ」のようだというところからこのタイトルを選びました。

今回の作品では演奏やサウンド面ではどのような点に重点を置いて制作しましたか?

小林:今までの方向性通り、アナログというか生演奏の質感は一貫して大切にしました。ただ今まで以上に様々な楽器や表現方法を取り入れることによって、今まで以上に自分の頭の中に流れる音楽のイメージを再現しようとしました。

レコーディングの際に一番、苦労した楽曲はどの曲ですか? どのような点に苦労さたかも教えて下さい。

小林:3曲目の「艶花」という曲です。他の曲とは違う、そして今までの曲とも少し違う歌謡曲の雰囲気を表現するのになかなか試行錯誤しました。押して駄目なら引いてみる、という感じでしょうか。

今回のアルバムの中で新しくチャレンジしたことはありますか?

小林:いくつかある中で一番挑戦的だったのは、曲ごとに歌い方を変える・一曲一曲に合った歌い方をする、というところです。

2曲目に収録されている「答えを消していけ」ではシンプルだけれども、強烈なメッセージが印象的ですが、この曲はテーマと楽曲のどちらから先に生まれたのですか?

小林:楽曲(音)が先で、歌詞やメッセージ性は後ですね。

アルバムの最後を締めくくる楽曲「星わたり」ではセンシティブなメロディーと歌声が印象的ですが、こちらはどのように作られましたか?

小林:この曲は4年前に作った曲をそのまま録音し直したものです。丁度僕が上京する直前に、そのときの気持ちを形にした曲です。

今回の作品の聴きどころを語るならズバリどんなところ?

小林:曲ごとに振り幅がある作品ですが、その全てが小林太郎の内面を説明してくれている気がするので、そのように聴いても楽しいかもしれません。

ライブで一番楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?

小林:お客さんの楽しんでる気持ちが伝わるときですね。それと演奏の楽しさが加わって頭の中が真っ白になっていきます。

客観的に見て小林太郎という人はどんな人物だと思いますか?

小林:怠け者で気性が荒い割に頑張ってるなぁと思います。

今後、音楽の上で挑戦してみたいことはありますか?

小林:「tremolo」がとてもイメージ通りに出来たので、これからはひたすら色んな人に聴いてもらえるように、色んな音楽をしたいですね。

2013年も始まったばかりですが、今年どんな年にしたいですか?

小林:音楽だけしっかりやって、後は逆に腑抜けていたいですね。

最後にみなさんに向けてメッセージをお願いします。

小林:今年は今までで一番自分の音楽ができそうな年になりそうなので、CDはもちろん、ライヴでお会いしましょう!

text by Takahashi