ジュゼッペ・ヴェルディ: レクイエム

思わずヤンソンスの指揮姿に見入ってしまう、この「ヴェルディのレクイエム」。彼は見事に配置された合唱団を従え、揺るがないオーケストラの響きを紡ぎあげていく。この音色は"黄金のホール"にくまなく行き渡り、美しい残響と畏敬の思念をを伴いながら聴き手の耳に届く。ソリストたちの歌唱も素晴らしく、なかでも22歳の若さでクラウディオ・アバドに見出されたテノール歌手サイミール・ピルグの起用は、この演奏に素晴らしい彩りを添えていることは間違いない。途方もない美しさを有するこのレクイエム、全ての死者と生者のためへの素晴らしい贈り物。