シンカオン

この世界でいきていく初めてライブを観たとき、ずっと前からロックバンドとしてそこで音を鳴らしていたような佇まいが印象的だった。まだ平均年齢21歳の4人組、自由人というバンドだ。曲はギター・ボーカルの五郎川が書いている。歌う者が曲を手掛けるロックバンドの場合、多くは葛藤や有り余るエネルギーやメッセージをその者が一手に引き受けて放つことになる。つまりは孤独なのだ。その孤独をどうするのか?他のメンバーが肩を貸して分かち合おうとしてはいけない。そんなことは最終的に無理なのだと思う。彼らは分かち合おうとするのではなく信頼し合っているのがわかった。このファーストアルバムは、自由人が描いた最新の地図。冒頭からギターはクルクルと力強く旋回し、心の隅から隅まで全てを吐き出すような正直な歌声が貫かれる。ここにあるメッセージはただの内省でも、何かに行き詰まった全てを吐き出すような猛然と視界に広がる数え切れない明日を捉えようとする言葉たちだ。だから当然、楽曲自体のスケールはデカくなり、その『明日』というシロモノが時にロマンチックなワンダーランドにもなるし闘うべきモンスターにもなることを告げる全10曲になった。何なんだこれは!?-まずはメ鴻fィアスで歌ゴコロに満ちたギター・バンドだと思って聴いてみてもらって構わない。その後に新鮮な驚きと得体の知れない力を受け取ってもらえれば幸い。いや、そうなるに違いない。