That's All So Far

ピアニスト/コンポーザーの川口信子、初めての作品集。川口は、国立音楽大学作曲科卒業、同大学院修士課程にて和声学と対位法をその世界の第一人者である島岡譲の元かなり深く学び、フランス近代音楽を和声の面から研究、プーランクの作曲技法についても研究、その後学生時代より興味のあったジャズ を学び、卒業後は主にシャンソン、カンツォーネの伴奏者としてキャリアを積んだ。日本に於けるシャンソンカンツォーネのライブハウスでは、実に多彩なジャンルの楽曲が提供される。それらに対応しつつその間にもジャズ の演奏も少しづつではあるが経験を重ね、10年程前からしばらく離れていた作曲を再開し、オリジナル作品を自己のグループで演奏し始めた遅咲きである。そういった川口の多面性が、西洋音楽の言わば黄金比を学んで身につけた美意識によって統一された、心地よいアルバムである。