憂鬱の決壊

2007年[SPREAD OF HATRED]から2年。溜まりに溜まった鬱積の崩壊が始まる。過剰に氾濫した音の粒が濁流となり全てを軋ませ全てを呑み込む。破壊は加速され轟き蠢き崩壊へ突き進み途方もない闇の世界へと導く。事件・事故に巻き込まれた人やその人の周りの感情、もしくはそれらを起こした加害者の感情。理由もわからず、突然それまで積み上げてきた全てを失い恐れおののく感情。そこで生が断絶し、残した家族のことを思う感情。もしくは幸せそうな表情を全て壊してしまいたいという感情。自分がこれからするであろう行為に躊躇する感情もあるかもしれない。それらの極端すぎる感情の接点が悲惨な事件・事故であり、それらを表現するためにあえて様々な感情が描かれている。日頃の生活、仕事云々に生じる苛立ち、ストレスなどを爆発させ"鬱積の決壊"をさせた人を幾度か歌詞に登場させ、その直前や最中、直後を描いた問題作。前作では英を用いていたが、より細かい表現描写にこだわり今作では全編日本詞で表現した。人が生きている以上、"鬱積"が溜ることはごく当たり前のことでそれを"決壊"させた人の"異常"さなどを詩文達のフィルターを通して自分達の"鬱積の決壊"を表現した破壊的ながらもメッセージ性の強い"motiveless"特有のハードコアグラインダーが炸裂した破壊的な1枚。デスメタル・グラインドコアファンには当然の事ながら、ハードコアシーンをも震撼させるであるう問題作の登場と言っても過言ではない。