シリアルキラー

今年の3月5日に発売された3曲入りシングル「まえぶれ」は店舗限定という販売方法にもかかわらず、多くのリスナーの手元に届き、そして十分に唸らせる作品であった事は間違いない。まさにアルバムの前夜「まえぶれ」。そして、1stフルアルバム「シリアルキラー」。天才的で変態的なギターフレーズ&テクニックを奏でるツインギター陣、日本人離れしたグルーブを生み出すリズム隊と切なさと力強さが同居したボーカルから成るserial TV drama。60分ジャストで終わる今回の12曲入りのアルバムは、現代の日本の音楽シーンに対する挑戦状ともとれると問題作でもある。一筋縄ではいかない彼らの楽曲。どんなジャンルに当てはめようとしても収まりきらない情報量。彼らから発せられる音楽には終わりなき探究心を感じる事ができるはずだ。プログレ、エモ、UKギターロック、ハードロック、J-POP...バンド名を挙げるならビートルズ、クイーン、エクストリーム、ミューズ、travisなどなど。唄モノの良い部分とオタク的な憎らしいほどのサウンドアプローチを融合させた本作は、新しい感覚を覚えるはずだ。1曲ごとに違う表情、また聴くたびに新たな発見があるように、緻密にそして遊び心を忘れずに確信的に制作されたまるでジェットコースターのような起伏の激しいエンターテイメントアルバム。2008年といわず、音楽史に残るアルバムになるのも時間の問題だ。