Embrace Our Wings

アルバム『Embrace Our Wings』はコロナの直前にマスタリングを終えていたがその内容の独自性故、時の経過を感じさせない作品となっている。「Raspberry」は美しいミディアムテンポの楽曲。「Fatal Jealousy」では80年代のニュー・ウェイブとオルタナティブロックの融合が感じ取れる。「Flower」での何層にも重ねられたギターとハーモニー、「Today Without You」での退廃的なヘヴィネスから朝の煌めきを切り取ったような「Sunset Kiss」への流れ、美しいフィードバックギターが印象的な「Silver Screen Of Summer」、ドラマティックな展開とコーラスギターのリフがアルバムの中では異彩を放つ「Don't Wanna Say Good-bye」など飽きさせることがない。UKニュー・ウェイブの影響を感じさせる「Your Eyes」、ギターのリフと透き通ったボーカルが冴え渡る「美しい人」、「Silver Wings To Fly」での透明な疾走感。アルバムを貫くテーマは追憶だというが一つの枠に収まらない内容となっている。