愛執ノ神隠シ ～狐ノ章～

「人ならざるもの」に執着され囚われる、淫靡な和風官能ミステリー。――就職してから数年後の夏、久々に実家に帰省したあなたが一人でうたた寝していると、ある青年が訪ねて来る。それは子供の頃、周りとうまく馴染めずにいつも一人だったあなたと遊んでくれたシロだった。あなたが帰省していると知ったシロは、子供の頃に交わした「一緒に蛍を見に行く」という約束を果たすため、あなたを誘いに来たのだという。懐かしさからすぐに打ち解けたシロとあなたは、新月の夜に蛍を見に行くことに。数日後、あなたはシロに案内されて森の奥にある稲荷神社の泉を目指していた。しかし神社の鳥居を潜った途端、澄んだ鈴の音が響いてあなたの前からシロが消えてしまう。驚いたあなたがシロを探すと、ふいに誰かに目隠しをされて抱きしめられた。振り返るとそこにいたのは、九尾の狐の姿をした稲荷神、白亜だった――。