商品説明
「先生、水芭蕉の花は空のご褒美なんだよ」ダム建設で水底に沈む街から東京に転校してきた少女ミチコ。貧しさや母への不信に傷つきながらも転校先で出逢った先生に抱く少女の純粋な気持ちを通して、"大切なもの"を描いた表題の、文庫オリジナルとなる書き下ろし短編小説『プレゼント』。逗子なぎさホテルに住んでいた時に部屋の係の老人から聞いた『靴』、京都に住んでいた時の『宵の花』、「自分としては人物描写の出発点である」(あとがき)と振り返る初期の作品『旅の追憶』など、人との出逢いや別れ、大切な時間を綴った心に滲みる珠玉の随想を多数収録。