商品説明
殿を諫めるため、覚悟の出奔をした潮田万之助は武州屋と名乗る商人と行き会う。なりゆきから武家娘早苗、女軽業小狐太夫を助けた二人は、万之助自身にも上意討ちの命が下されていると知った。「殿のお気に入りであるあなたの脱藩は、藩を牛耳ろうとする者にとって渡りに舟だったのでは?」―武州屋の鋭い指摘に万之助は言葉もない。思いあまって姉姫さまを訪れた万之助は、事の真相を掴む。近習仲間、安岡英之進とその一派が、お家と姉姫さまを我がものにしようと牙を剥いていたのだ。ここで立ち上がらなければ侍ではない。武州屋たちの力も借りて、万之助は地獄屋敷へと乗り込む覚悟を決めた。国民的人気作家、山手樹一郎による超痛快、時代小説。