著者・出版社・関連アーティスト
商品説明
高校時代以来六十余年、精神科医となってからも、著者の傍らにはいつもヴァレリーの書があった。コレクション最終巻では、数々の書評や、読書をめぐる達意のエッセイに加え、精神科医としての深い読みから生まれた独自のヴァレリー論を収録する。著者にとってヴァレリーはいつも危機の中にあった。最初の危機は若き日、にわかに拡大した知的視界を前にして陥った「自己同一性拡散」である。自己の底に無限の力を感じるが、現実の前では無に等しいという感覚。そして嵐の夜に経験した超覚醒状態…。「ジェノアの危機」と言われるこの深刻な事態を、著者は自己支配のパラドックスという視点で読み解いていく。
関連記事
収録内容
1 | 1 ヴァレリーについて(ポール・ヴァレリーと青年期危機 |
2 | 船と海とヴァレリー ほか) |
3 | 2 書評(書評の書評 |
4 | ソーレル『人間の手の物語』 ほか) |
5 | 3 本と仕事の周辺(バリント『治療論からみた退行―基底欠損の精神分析』あとがき |
6 | レンベルガー『無意識の発見―力動精神医学発達史』あとがき ほか) |
7 | 5 読書アンケートに応えて(「翻訳の世界」翻訳書選者としてのコメント |
8 | 「みすず」読書アンケート) |