娘を恋した黒牛 (絵本伊那谷ものがたり)

昔、南信州伊那の小野村(現・辰野町)から、山をこえて木曾へと続く峠の近くに、“山口の長者屋敷”と呼ばれていたりっぱなお屋敷がありました。長者の屋敷には、お玉さんという、やさしい一人娘がいました。そのお玉さんは、家で飼っている黒牛をたいそうかわいがっていて、いつでも、どこへ行くにも黒牛に乗っていました。豊かな自然と歴史に育まれた、伊那谷各地の懐かしくて新しいおはなし。