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商品説明
ハレ大学(1694年)とゲッティンゲン大学(1737年)の創設は17・18世紀にかけての近代大学の嚆矢であった。それは教会に支えられた宗派大学から領邦国家の管轄下の大学への転換を意味する。12世紀に誕生してからルネサンス、宗教改革を経て、大学は絶対主義国家や啓蒙主義など新しい波を受け、大きな変革に直面した。本書は18世紀ドイツにおける大学の実態を資料を駆使して分析する。講座構成と学問領域の変化、団体権の喪失、意思決定機構、官房学から国家経済学への展開、さらに教授の資質や個人評価・担当コマ数・給与、ラテン語からドイツ語への教授言語の転換、学生生活と学位や学籍簿への登録費用、大学の移転・統合・廃止の動向など多面的に考察し、近代大学とは何かを明らかにする。わが国のドイツ大学観はベルリン大学(1810年創設)を中心にイメージされるが、実際はそれ以前に多様な変革を経験し19世紀の大学の基盤が形成されてきた。わが国の大学も転換期の渦中にあって、18世紀のドイツ大学が直面した課題にも通じる問題を抱えている。本書の示す豊富な知見は有益な示唆を与えるに違いない。
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収録内容
1 | 第1部 理論的前提(問題の設定 |
2 | 本研究の意義 |
3 | ドイツ大学史から見た時代区分) |
4 | 第2部 個別大学史的考察(ハレ大学の創設―問題の設定 |
5 | ゲッティンゲン大学の創設 |
6 | ヴィーン大学における講座構成と団体権の喪失 |
7 | ライプツィヒ大学における意思決定システム・講座構成・講義告知の方法 |
8 | インゴルシュタット(ミュンヘン)大学における官房学の展開 |
9 | ヴィッテンベルク大学における講座構成と教師の個人評価 |
10 | ケーニヒスベルク大学における講座構成と国家との関係) |
11 | 第3部 総括的考察(ドイツにおける大学統廃合―ナポレオン戦争期の事例より |
12 | 一八世紀の大学教師 |
13 | 学生生活 |
14 | 近代大学とは何か) |