著者・出版社・関連アーティスト
商品説明
九世紀半ば、北・中央アジアでは、唐・ウイグル・吐蕃の三大帝国の勢力が弱まって真空状態が生じ、多くの遊牧民が一斉に活動を開始した。なかでも国家滅亡後も西方では中国を指す呼称となった“キタイ”が勢威をふるった。本書はこのキタイ(契丹=遼)国について、『遼代社会史研究』『遼朝官制の研究』『遼朝史の研究』などを著してきた遼代史の専門家である著者が初めて一般読者を対象に書き下ろした書である。第1部では、キタイの勃興から滅亡までを概説する。第2部では、学界における論争も紹介しながら、征服王朝説などを退け、キタイ国が中国史王朝の系列外の胡族国家であるという著者長年来の主張を軸に、歴代異族王朝のなかで、漢族の習いを拒み、民族的伝統を貫き、ひときわ異彩を放ったキタイ国の独自性を、その制度・宗教・社会・経済・文化などの多方面からとらえる。第3部では、初代帝王耶律阿保機の長子として生まれ、皇太子に冊立されながら、弟との確執のなか帝位を譲り、最後は故国を脱出し唐土に死した、文人としても名高い倍に焦点を当て、草創期の王朝内部の人間模様からキタイ国の実情を探る。
関連記事
収録内容
1 | 1 キタイ(契丹・遼)国の興亡(勃興前の契丹 |
2 | 契丹国の成立 |
3 | 耶律阿保機の事蹟 ほか) |
4 | 2 キタイ(契丹・遼)国の制度と社会(統治の仕組み |
5 | 契丹・漢二元の官制 |
6 | 騎馬の精強軍団 ほか) |
7 | 3 悲劇の王、倍(倍の生い立ち |
8 | 父、阿保機の死と倍の譲国 |
9 | 東丹の国都を遼陽に遷す ほか) |