日本の「運命」について語ろう

幸せも不幸せも個人だけの責任ではない。生活している社会によって、人生は大きく変わる。歴史を学ぶことで、自分の人生の座標を手に入れられる。

「歴史とは何のために学ぶのか?」といえば、「自分が今、こうしてある座標を学ぶ」ためです。今自分が幸せであるなら、それは自分の祖先達が何らかの形で自分にもたらしてくれた幸福です。逆に自分が不幸であれば、その不幸は自分が至らなかっただけではないでしょう。誰の責任なのか、どこに問題があったのかと振り返ることも実は重要です。誰しも幸不幸はあります。ただしその幸不幸は、個人の責任にばかり帰結するわけではありません。社会の責任である場合も往々にしてあります。社会によって、人生は大きく変わるのです。今、高校の日本史は選択科目です。自国の歴史を知らないのはおそろしいことです。江戸幕府はなぜ終わったのか。明治維新とはなんだったのか。戦争はどうやってはじまるのか、戦地で何があったのか、戦争の結果どうなったのか……。それを知らないと、国際社会の中での日本の立場、日本人としての拠り所は分かりません。国家と国民の運命を知るために、これから歴史のお話をいたしましょうーー。大人気作家浅田次郎が、著作の裏話も交えながら、縦横無尽に語り尽くした決定的歴史論。