吉村昭氏の書籍を多数読んできましたが、長編も短編もどちらも大変良いです。本書は短編ですが、収録されている5編とも甲乙つけたがく、全て素晴らしい。社会的に少し外れている男達がメインに登場するが、なぜだか感情移入させられる。吉村昭氏の作品は、動物との関わりを書いた物がたくさんありますが、その中でも本書はお勧めです。
著者・出版社・関連アーティスト
商品説明
愛する若妻を殺した羆を追って雪山深く分け入る中年猟師の執念と矜持を描いた表題作。会社勤めをやめて蘭鋳の飼育と交配に熱中する病的なほどに潔癖な男の内面を浮き彫りにした「蘭鋳」。隻眼ながら圧倒的な強さを誇る王者黒駒に銘鶏正宗を擁して凄惨な闘いを挑む軍鶏師の鬱屈した心情を描く「軍鶏」。生き物の生態や習性の綿密な取材に基づいて、生き様と人間のかかわりを探る5編。
関連記事
close