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商品説明
恋や愛という他者への欲望から生まれる罪業と葛藤、そして聖人の救済が描かれる『霊異記』。奈良末期から平安朝前期において、漢訳仏典の語や教理の深淵に人間の心の様相を求め、存在の在り方を探った仏教説話集である。これまでは仏教学、思想史学、歴史学、国語学方面からのアプローチがほとんどであったが、「文学」の対象に据えたとき、物語の持つあらたな構造が浮かび上がる。作品論的読解により、中国説話集の未熟な模倣作とされた評価を覆す。
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収録内容
1 | 『日本霊異記』における罪業観と救済の構造 |
2 | 第1部 罪業の形象(狐妻説話における主題―愛欲の表現と異類婚姻譚 |
3 | 狐妻説話における恋歌―「窃窕裳襴引逝也」との関係を通して |
4 | 「愛心深入」における女の因業 |
5 | 婬〓(いつ)なる慈母―子の孝養における救済 |
6 | 盲目説話の感応と形象―古代東アジア圏における信仰と奇瑞 |
7 | 宿業の病と無縁の大悲) |
8 | 第2部 “聖人伝”の形象(聖徳太子の片岡説話―「出遊」に見える“聖人伝”の系譜 |
9 | 『霊異記』が語る行基伝―聖人の眼をめぐって |
10 | 行基詠歌伝承と烏の形象 |
11 | 「外道」なる尼―女人菩薩説話の形成) |
12 | 編者景戒の夢見と『日本霊異記』説話との関係性 |