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商品説明
難民問題を配分的正義の問題へと還元してしまうことで、友情という次元は見えづらくなる。あるいは、友情という問題は、その次の段階の問題、とされてしまう。つまり、配分的正義の問題が解決したあかつきには、難民との友情も可能となるであろうということが、ほとんど根拠なしに自明のこととして前提されている。しかし、本書ではそうした前提はとらない。これは段階の問題ではない。配分的正義の問題へと切り詰められることによって、難民は制度的な身分へと取り込まれ保護され、国民社会との関係性はかえって希薄化していく。互いに友情を結ぶチャンスは遠ざかる。大事なことは、正義の実現を辛抱強く待つことではなく、別の位相において同時に、友情を追求することであろう。
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収録内容
1 | 第1章 国民国家システムと難民 |
2 | 第2章 難民の定義をめぐって |
3 | 第3章 「移民状況」/「難民状況」 |
4 | 第4章 主権の過剰による難民の地位の変容過程 |
5 | 第5章 難民との友情 |
6 | 第6章 流動へと根づく |
7 | 第7章 「中国残留邦人」という移動―「移動」と「定住」の弁証法 |