商品説明
20世紀の文学は「時間」を、事実の連鎖としての「外的時間」ではなく、個人の心の持続性を表す「内的時間」として描くことを始めた。著者はこれを文学による「時間の発見」と捉え、その口火を切ったのはプルースト、ジョイスであったとする。第一部では、英米の作家を中心に、文学における時間の主題化を心理学的・哲学的アプローチで掘り下げ、第二部では美学上の問題に焦点を当て、ガルシア=マルケスやカフカなど、より幅広いエリアの作家を分析していく。そして20世紀を締めくくる作家として、村上春樹を取り上げ、彼が生み出した独自の時間表現の世界を読み解いていく。
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収録内容
1 | 第1部 二十世紀文学と時間(花咲く時間文学 |
2 | 永続性―プルーストのほうへ |
3 | 過去と現在の同時的共存―フォークナーのほうへ |
4 | 時間の相対性―トーマス・マンのほうへ |
5 | 時間の非連続性―サルトルのほうへ |
6 | 祝祭的時間(間主観的状況における時間の非日常性)―ロレンスのほうへ |
7 | 死と時間(時間の有限性と不可逆性)―リルケのほうへ |
8 | 結びにかえて―二十世紀後半の文学における時間) |
9 | 第2部 続・二十世紀文学と時間(方法としての時間 |
10 | 物語の時間 |
11 | 人物の生きる内的時間 |
12 | 具体的な作品に即して) |