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商品説明
戦前は名のみ知られたダンテが、近ごろは日本人にも世界最高の詩人として合点されるようになった。今や日本ではダンテ『神曲』の方がゲーテ『ファウスト』より話題とされることが多い。これはひとえに学匠詩人平川〓弘のダンテ訳と講釈のお蔭である。この平明で詩的な『神曲』講義は実に豊かな西洋中世を解き明かす。それに平川〓弘の世界が重なる。読めども興趣のつきぬ本書だが、それにあわせて『神曲』を読み進むなら、ダンテの詩がいかに私たちにも身近で、新鮮で、興趣深いか、自ずとわかろうというものだ。著者は日本人が置かれた文化史的立場を吟味し、漱石のいわゆる「自己本位」で学問を再定義する。新しい、広々とした視野が自ずと開かれる。その生命の躍動を感じるとき私たちもまた「何等の快事ぞ。『神曲』は今我書になりぬ」と声高らかに叫ぶことができるだろう。
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収録内容
1 | ダンテの『新生』 |
2 | 仏教の地獄とキリスト教の地獄 |
3 | 作品の冒頭 |
4 | 地獄の門 |
5 | 三途の川、辺獄 |
6 | 肉欲の罪 |
7 | 大食らいの罪、貪欲と浪費の罪 |
8 | 忿怒の罪、地獄の下層界へ |
9 | 異端の罪、暴力の罪 |
10 | 自殺者の森、熱砂の沙漠 |
11 | 男色者たち |
12 | 悪の濠、欺瞞の罪 |
13 | 聖職売買、汚職収賄 |
14 | 鬼どもの行状 |
15 | 異形の者 |
16 | オデュセウスの詩 |
17 | ダンテの自己中心的正義感 |
18 | 地中海世界と寛容の精神 |
19 | 氷の国、裏切の罪 |
20 | 地獄の底、煉獄到着 |
21 | 煉獄前地 |
22 | 『神曲』と複式夢幻能 |
23 | 七つの環道 |
24 | 地上楽園から天国へ |
25 | 天国篇 |