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商品説明
端正な文章で知られる藤沢周平の時代小説から「一文一段落」でしめくくられる七十三作品を取り上げ、その終わり方から作品を読み直す。鮮やかな幕切れを演出する末尾文が、いかにして読者にとどめを刺すのか。主に登場人物の描写で終わる一文を通じて、藤沢作品とそこに描かれたひとびとの魅力を紹介する。
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収録内容
1 | おしのの、短い旅は終っていた。―(暗い繩) |
2 | 疲れてかすんだ眼をこすり、清次は再び鑿をとり上げると、(略)―(闇の梯子) |
3 | お吉はつぶやいたが、不意に自分も掌で顔を覆った。―(父と呼べ) |
4 | 薄闇の中にいる男とは、遠い昔に別れていたのだ、とも思った。―(旅の誘い) |
5 | その鳥たちのしあわせに、微かな妬ましさを感じながら、(略)―(霜の朝) |
6 | 屋根を叩いていた時雨は、遠く去ったらしく、(略)―(時雨のあと) |
7 | 耳に轟いて、題目の声が続いていた。―(穴熊) |
8 | 耳を聾するばかりの時の声の中で、直太も寝たまま首をもたげ、(略)―(石を抱く) |
9 | 達平は、まだ頭が痛かった。―(拐し) |
10 | 橋の方から駆けてくるおようを指さしながら、おすまはそう言った。―(閉ざされた口)〔ほか〕 |