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商品説明
戦争体験の伝承ということ、これについては、ほとんど絶望的である―。少年期を日中戦争の戦時下に過ごし、大学在学中に徴兵され、ソ連軍の捕虜となり復員。異常で圧倒的であり、自らの現在を決定づけた戦争体験とその伝承の難しさについて、戦中派である著者が切々と書き綴る。戦後多くの知識人が、体験を思想化・体系化して後世に伝え、反戦・平和を訴える義務と責任を説くなかで、著者はその「語りがたさ」に固執しつづけた。屈辱や憤り、自責、虚しさ、喪失、死への誘惑...。時に感傷的で非生産的と批判されながらも、断片的で矛盾に満ちた自らの戦争体験に留まり、二十年をかけてその「無念」を問うた書。
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収録内容
1 | 序章 なぜ戦争体験に固執するか |
2 | 1(喪われた世代 |
3 | 学徒出陣のころ |
4 | 「戦後」はまだ終っていない |
5 | 「執念」と「信仰」について |
6 | 私の時計は笑っている |
7 | 転向・挫折・戦争体験 |
8 | 生者の傲岸な頽廃) |
9 | 2(戦争体験の「伝承」について |
10 | 追跡者の執念 |
11 | 農民と知識人のあいだ |
12 | 戦没学生の知性の構造 |
13 | 死者の声・生者の声 |
14 | サークル『山脈』と持続) |
15 | 終章 一九七〇年への遺書 |