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商品説明
コピー機器メーカーの営業社員早田(はやた)。技術職として採用され8年間、不景気の煽りを受けた社の方針で営業職に異動となり2年間、慣れない営業活動にリストラ候補としてのプレッシャーを受けながら、日々心も体も磨り減らすようにして生きていた。給与は減らされ、成績の悪い早田は歩合給ももらえず、わずかばかりの基本給だけで家族を養い、異動前に購入したばかりのマンションをなんとか守るため、歯を食いしばり必死で戦う日々を送っていた。「今月、来月の二ヶ月間の結果で進退を決めてもらう」上司からの実質的なクビ予告。家は抵当に入れられ、ついに家族からは笑顔が消えていった。「なんの為に働いているのか……。自分なりに頑張っているのに、家族すら幸せにできない。毎日こんなに疲れているのに、一向に成果に結びつかない。まるで会社も敵なら、お客様も無理難題を言う敵でしかない。」数ヵ月後、家は競売に掛けられ、立ち退きを余儀なくされてしまう。気がついた時には、名も知れぬ海が見える公園のベンチに早田は座っていた。小さな小さな心の中の火種を両手で必死に守り続けた2年間。折れそうになる心と体をぶら提げながら歩き続けた日々。 しかし、必死に守り続けた火種は今、その手の中で燃えかすとなっていたのだった。「もうダメだ……。もうムリだ……。もうヤメよう……。でも、なにをヤメるのだろう……。生きること……。ヤメてしまえば、きっと楽になれるはずだ……。」真っ赤に染められた海と空。誰もいない公園。たったひとつのベンチ。ぼんやりと眺めた空の向こうに、一枚の白い羽根が舞っている。羽根は、まるで天使が舞い降りるように、早田の膝の上に落ちてきた。よく見ればそれは名刺サイズの古ぼけた一枚の紙切れだった。『君を愛している人がいることを忘れないでいて欲しい。君は独りじゃないことを忘れないで欲しい。私はいつでも君を見守っている。この先、多くの理不尽と出会うとも、これまで多くの理不尽に翻弄されようともすべての出来事は必然なんだ。これから訪れる奇跡のための必然……。信じる勇気を捨てないでいれば必ず希望がいつも君を支えてくれるはず。生きるってことは、善いことも、悪いことも、全部ひっくるめて人生なんだ』前作でもお馴染みのキャストが物語に彩をつけ、さらに彼らの止まっていた時間がまた、動き出す。それぞれがそれぞれに、「誰を幸せにしたいのか」という思いをその胸に抱きながら。


