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商品説明
第二次世界大戦中、日系アメリカ人はアメリカ合衆国政府の強制収容政策によって有形・無形の損害を被った。戦後、日系アメリカ人はその損害への補償と謝罪を合衆国政府に求めた。本書は日系アメリカ人によるこのリドレス運動の展開過程を、集合的アイデンティティの(再)形成と合衆国政府の補償法成立との相互作用に着目して分析している。運動の象徴的・文化的側面と政治的側面の相互作用を射程に収めて運動の内的ダイナミクスを明らかにしたことで、運動の実態について従来の研究よりもさらに踏み込んだ考察が加えられており、これまで成功事例としてのみ位置づけられてきたリドレス運動像が相対化される。自分たちは何者なのか―。日系アメリカ人は戦時下においてエスニシティと国籍のはざまで引き裂かれ、アメリカ国内で圧倒的に弱い立場へと追いやられた。戦後の日系アメリカ人はいかにして、みずからの尊厳を回復させ、肯定的かつ安定的な存在証明を獲得したのか。その語りの記録が社会運動論に新たな視座を拓く。
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収録内容
1 | 序章 運動はどのように始まったのか―課題と方法 |
2 | 第1章 リドレス運動に至るまでの経過 |
3 | 第2章 運動経験の語り―“日系‐アメリカ人”アイデンティティの形成 |
4 | 第3章 コミュニティ支援活動からリドレス運動へ―NCRRの成立 |
5 | 第4章 「強制収容の記憶」の再編―1981年公聴会とNCRR |
6 | 第5章 「草の根ロビー活動」と市民的自由法の成立―NCRRの立法活動 |
7 | 第6章 もう一つの運動―日系ペルー人によるリドレス要求 |
8 | 第7章 「強制収容の記憶」から「運動の記憶」へ―ロサンゼルス「追憶の日」を事例にして |
9 | 第8章 記憶の共有をとおした社会運動―日系アメリカ人とムスリム・アメリカ人の連帯形成 |
10 | 終章 結論と展望―日系アメリカ人リドレス運動の再評価 |