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商品説明
「男/女」の規範に必ずしもあてはまらない文化がロシア文学のなかで花開いた「銀の時代」と呼ばれる時代が百年前にあった。本書では二十世紀初頭のロシアで都市のミドルクラスの女性たちに人気を博した三人の女性作家による女性向け大衆小説に着目し、これらの作品がいかなる方法を用いて非規範的な“性”のあり方を呈示し、「男/女」や「異性愛/同性愛」といったジェンダーやセクシュアリティに向き合ったのかを探っていく。小説のなかで既存の「男/女」の秩序におさまらない“性”の諸相がいかに示され、そうした表象を支える原理がいかなるものであったのか、当時の社会・文化的コンテクストを参照しつつ明らかにしていくと、彼女たちの小説のなかに豊穣な“性”文化が存在していたことが見えてくる。
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収録内容
1 | 序章 二十世紀初頭の女性向け大衆小説とジェンダー研究 |
2 | 第1章 女性向け大衆小説のベストセラー化とフェミニズムのパラドクス |
3 | 第2章 ナグロツカヤ『ディオニュソスの怒り』における「新しい女性」像 |
4 | 第3章 ヴェルビツカヤ『幸福の鍵』における「死」と「幸福」 |
5 | 第4章 チャールスカヤの少女小説における「冒険する少女」たち |
6 | 第5章 男性同性愛をめぐる言説の構成と変容 |
7 | 終章 非規範的な“性”をめぐる境界の編成 |
8 | 補論 大衆小説にあらわれる「男らしさ」と身体 |