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商品説明
消滅したかつての帝国をも含む神話への深い執着と愛憎は「オーストリア病(モルブス・アウストリアクス)」と表現される。「ニーベルンゲンの歌」から、ホーフマンスタール、ムージル、ツヴァイク、バッハマン、ベルンハルトまで、この「病い」が駆動させるアクチュアリティを問う。
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収録内容
1 | 序章 モルブス・アウストリアクスあるいはオーストリア文学の過去と未来の間 |
2 | 第1部(「ドイツ」国民叙事詩?―オーストリア文学史叙述における『ニーベルンゲンの歌』 |
3 | 「全的人間」による共同体の創造―ホーフマンスタール『国民の精神的空間としての書物』とディルタイの精神科学 |
4 | 「この時代」の文化批判―ムージルの「カカーニエン」とアウストロ・ファシズム |
5 | 「この小さな国―偶然にも私の故国」―シュテファン・ツヴァイク『昨日の世界』における「故郷」としてのオーストリア |
6 | 『聖霊降臨節の牧歌』から『聖霊降臨節の旅』へ―K・H・ヴァッガールにおける第二次世界大戦中/戦後の「故郷」理念の変化 |
7 | ナチスの桂冠詩人か、言語芸術の革新者か―ヨーゼフ・ヴァインヘーバーの戦後オーストリア文学における立ち位置) |
8 | 第2部(アイヒンガー、アイゼンライヒ、ドーデラー―不信の詩学あるいは「オーストリア的なるもの」の象徴化と神話化 |
9 | インゲボルク・バッハマンと戦後ウィーン |
10 | 「オーストリア的なるもの」の緩慢なる自殺あるいは損傷した物語―ゲアハルト・フリッチュの長編『石の上の苔』と『ファッシング』について |
11 | 「けっしてひとりではない」場所―ミロ・ドールにおける故郷と自伝的語り |
12 | 腐食する現在、拓かれる過去―イルゼ・アイヒンガーの詩における「錆」の主題 |
13 | トーマス・ベルンハルト『地上でそして地獄で』における反復される「私」―詩「顔たちの日」と「九篇の聖歌」を例として |
14 | 革命とフラグメント―初期ベルンハルトの中編小説 |
15 | ローベルト・ヴァルザー『散歩』とトーマス・ベルンハルト『行く』―二つの歩行する散文の分岐点 |
16 | 自伝が生まれる時―メタフィクションとしてのトーマス・ベルンハルト『推敲』について) |