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商品説明
作家たちによる日本語表現の極意。
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収録内容
1 | 心の底を叩いて見るとどこか悲しい音がする |
2 | 千七、八百年前に同時に型を脱し、同時に窯を出て、同じ墓壁に |
3 | 宵闇に浮かぶ白い浴衣も、おぼつかない白粉の匂いも |
4 | 桐の花の色もちらつかせ、カステラの手ざわりも匂わせたい |
5 | 首だけが、ひとりでに高く登って行く様な気持ち |
6 | うれしさ、聡ずかしさのやり場はこれ以外になかった |
7 | 秋の雨自らも、遠くへ行く寂しい旅人のように |
8 | 老年の凍りつくようななさけなく |
9 | 桜の樹の下には屍体が埋まっている |
10 | 風鈴の音がその日いちにちの終りをセンチメンタルに結ぶ |
11 | 五彩の花々は絶間なく空を染め、絶間なく空に吸込まれた |
12 | 薄鈍びて空に群立つ雲の層が増して |
13 | 浅草の路地の朝は、味噌汁のかおりで明けた |
14 | 永劫であろうとするような光の顫動が音響をすら放って |
15 | 夕日が波紋のような最後の光を放っている中へ五つの影が |
16 | 貝がらを耳に当てると海の音が聞えるの |
17 | 街燈に照らされた雨が、物思いにふける主人公の姿を映す |
18 | 胸の中にほんの少し不逞な気分が入りこんできた |
19 | お前の舌/お前の眼/お前の昼寝姿が/今はっきりと |
20 | 思いつめた目をした中年男が冷たく光る鋭利な刃物を |
21 | やがてだれもいなくなった庭だけが残った |
22 | 彼女自身の心みたいに暗い森の奥で |
23 | マッシュされたじゃがいもに長靴の底の模様が残る |
24 | まさに辞書の鬼で、鞄は「どす黒い情念の塊」 |
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