破夏 (小学館文庫)

不登校となっていた中学生の進は、親の勧めで夏の二ヶ月を沖縄の離島で過ごすことになった。美しい海の前に建つ豪奢な家で、つかの間心を癒す進だったが、大人たちから課される「修練」の過酷さは徐々にエスカレートしていく。夜中に聞こえる不可解な悲鳴、儀式に使われたかのような部屋、消えた少女、豚小屋で異臭を放つ肉片。進は命がけの脱走を図るが...。この世界に出口はあるのか。狂気をおびた大人たちの欲望が少年の運命を歪めていく。実在の事件をモデルにした『地面師たち』で世間を震撼させた著者の最“恐”サスペンス・スリラー。