新たな文学研究の可能性が生まれている。本書はチカーノ詩の研究を中心にしつつ、旅のエッセイ、短編小説 やらが渾然一体となって読み終えたころにはえもいわれぬ美味が余韻となって残るような感触を読者に与える。 この著者の特徴は直喩の巧みさを駆使し淀みなく語って ゆくところにあると言ってよいだろう。文学という虚を 実にまで高める力はほかにはみられないものだ。その理 由はおそらく著者自身がボーダーだからだ。世界中のボーダーを歩き回って人々と魂の出逢いをする。すべてを受け入れ心の叫びを掬い上げる。温かみと知性がともに 機能し、独自の研究書をつくりあげている。 必読。
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商品説明
南の声に耳をすます詩・紀行・ロードノヴェル。米国・メキシコ国境を渡り歩き、周縁におかれた人びとの生と死を、その歴史を、政治を、経済を、詩・紀行・ロードノヴェルによって鮮烈に描き出す。境域から現代世界を見つめる、渾身のフィールドワーク。スペシャル付録「ボーダー映画ミシュラン50」。
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収録内容
1 | 第1部 ボーダー・ウーマン(サンイシドロ |
2 | 女性詩人の告発-バーニス・サモラ |
3 | ホテル・ババカリフォルニア |
4 | チカーナ・レズビアンの詩学-グロリア・アンサルドゥア ほか) |
5 | 第2部 エル・デスペラード-国境の無法者(アリシアの冒険 |
6 | カリフォルニアの義賊-「ホアキン・ムリエタのコリード」 |
7 | クンビアの川 |
8 | テキサスの「無法者」-「グレゴリオ・コルテスのコリード」 ほか) |