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商品説明
19世紀後半、創刊相次ぐ美術雑誌や競売カタログの紙上を飾ったエッチングによる複製版画は、当時の絵画趣味にも叶い、制作もスピーディー、版画としての価値もあるとしてもてはやされた。だがその背後には、「複製エッチング」を戦略的に利用することで作品の価値を相互に保証しあう、画商・批評家・コレクターたちの思惑が隠されていた-。偽名・筆名を巧みに使い分けた、"戦略"の急先鋒、ベルギー人画商レオン・ゴシェの実像に迫りつつ、国際的な絵画市場形成期における蒐集・取引の内幕をあきらかにする。
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収録内容
1 | 一九世紀の複製エッチング再考 |
2 | 第1部 一九世紀フランスの複製エッチングとその背景(絵画の蒐集・取引における複製エッチングの役割 |
3 | 複製技法としてのエッチングの性質と意味-光と色彩の翻訳者 |
4 | レオポル・ドゥーブルと紋章型エクスムゼオ(蔵品印)のシンボリズム-複製エッチングと美術愛好家) |
5 | 第2部 レオン・ゴシェと絵画のための「イメージ」戦略(メセナと絵画投機、ウィルソン・コレクションをめぐって |
6 | 画商/批評家レオン・ゴシェ、あるいは美術愛好家にして投機家、投機家にして美術愛好家 |
7 | 市場のための紙上美術館-複製エッチング集『メトロポリタン美術館』(一八七一年) |
8 | 越境する複製イメージ-複製エッチングと競売カタログ |
9 | 『ラール』再考-ブルジョワジーのための美術雑誌、あるいは産業への芸術の応用) |