商品説明
ヴァーグナー芸術の特徴である理想主義には、恐るべき現実性がひそんでいた。「反ユダヤ主義」-古来ヨーロッパ精神に伏流し、19世紀後半ドイツにおいて異常な高まりを見せ、20世紀にナチスによる大破局を招くことになる思想が、ひとりの作曲家の精神構造にどのような影響を与え、その芸術にどのような刻印を残したか。これまで観念的に語られてきたヴァーグナー芸術と反ユダヤ主義との関係を、彼の音楽作品、論文、書簡、妻コージマの日記、同時代の資料などをもとに徹底的に洗い直し、実証した画期的研究。
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収録内容
1 | 第1章 ヴァーグナーと反ユダヤ主義(ヴァーグナーの革命志向とユダヤ人問題の結びつき |
2 | コージマの『日記』に見られるヴァーグナーの反ユダヤ観発展の諸相と同時代のドイツにおける反ユダヤ主義 |
3 | ヴァーグナーとユダヤ人との交友) |
4 | 第2章 ヴァーグナーの舞台作品に見られる反ユダヤ的思想(「ユダヤ的」貨幣経済と『ニーベルングの指環』 |
5 | 『ニュルンベルクのマイスタージンガー』におけるユダヤ人カリカチュア |
6 | 『パルジファル』における腐敗) |
7 | 第3章 「未来の芸術作品」と19世紀後半のドイツ精神(「未来の人類」のために-時代精神からの「ドラマ」の誕生 |
8 | 理想と現実) |