モーツァルト: 歌劇「ティートの慈悲」

20年にも及ぶ空白の後、グラインドボーンに、クラウス・グートの演出による強靭さと美しさを備えた「ティート」が帰って来た。均整のとれた美声で、リチャード・クラフトが題名役を演じ、アンナ・ステファニーはセストの不安と後悔の念を、完璧な歌唱で歌いあげる。舞台監督のグートは一世紀のローマの物語を二階は現代のオフィス、一階は草原という意表をつく設定で、オラフ・ヴィンターの精妙な照明・プロジェクションと相まって説得力に富む舞台を作り上げた。ロビン・ティチアーティのタクトはエイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団からモーツァルトの最晩年のスコアから緻密で陰影に富む充実した音楽を紡ぎあげる。 [演奏] 皇帝ティート: リチャード・クロフト (テノール)、セスト: アンナ・ステファニー (メゾ・ソプラノ)、ヴィッテリア: アリス・コート (ソプラノ)、プブリオ: クリーヴ・バーレイ (バス)、アンニオ: ミシェル・ロジエ (ソプラノ)、セルヴィリア: ジョエル・ハーヴェイ (ソプラノ)、指揮: ロビン・ティチアーティ、エイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団、グラインドボーン合唱団