リスト: ファウスト交響曲 1854年初稿によるオルガン独奏版

1830年末、友人ベルリオーズに薦められてリストが手にしたのは、ゲーテの戯曲「ファウスト」だった。この物語はリストを深く魅了し、やがてリストは物語を音楽にしようと考え"ファウスト伝説"を題材にした作品が何曲も生まれた。なかでも1840年代から構想が練られた「ファウスト交響曲」はリストの最高傑作とされている。物語を忠実に再現するのではなく、ファウスト、グレートヒェン、メフィストフェレスの性格、人物描写を8つの主題によって造形的に描くという交響曲と言っても自由な形式が用いられている。作品は1854年に一旦完成されたが、リストはこの作品に何度も改訂を行い、その都度楽器の編成を増強し、第3楽章に男声合唱を付け加えるなどの手を加え、最終的に完成を見たのは1880年だった。このアルバムは1854年の初稿版をアルブレヒト自身がオルガン用に編曲、演奏している。ホルン以外の金管楽器や打楽器、ハープ、男声合唱が付け加えられる以前のシンプルな響きは、オルガンで演奏しても何の遜色もない。1985年に製作され2004年と2010年に改造された豊かな機能を持つガスタイクのクライスオルガンの音色をたっぷりとお楽しみください。